1人の命を救うため、撤兵を決断したアロヨ大統領
フィリピンのアロヨ大統領が、アメリカとの板ばさみになりながらも、イラクからの軍の前倒し撤退を決断したのは、たった一人のフィリピン人運転手の命を救うためだった。
たった一人の命が、いかに重いものであるかを、これほどまでに感じさせる政治的決断はない。
この運転手には8人の子どもがいて、その中には日本に働きにきている娘もいるという。
「テロリストの脅しに屈するな」というアメリカなどからの強い批判をはね返して、武装勢力の人質になっていたフィリピン人を解放させたアロヨ大統領は、「決断に悔いはない。すべての生命は重要だ」と語っている。
この決断に対し、日本人人質事件で「テロリストに屈するな」の論陣を張って、自衛隊を撤退させないという日本政府の方針を支持してきた大新聞は、朝日も含めてとまどい気味だ。
僕は、金科玉条のごとくに、また錦の御旗のごとくに叫ばれる「テロリストに屈するな」という声高な主張について、本当に正しい論理なのかどうか、このへんで疑ってかかる必要があるのでは、と思う。
スベインの電車テロを契機にして、イラクに派兵している国が撤退したり、撤退を検討するところが相次いでいるのは、「テロリストに屈するな」というアメリカの主張の正当性に、根源的な疑念が生じているためだ。
大量破壊兵器が存在しないのに、情報機関の誤った情報をもとに、国連決議に基かない先制攻撃で、イラクに一方的に戦争を仕掛けたアメリカやイギリスのやったことは、それこそ国家ぐるみのテロ行為であり、米英両軍は世界最強のテロリスト集団ではないのか。
米英軍やこれに追随する国がイラクでやったことは、国際法違反の犯罪であり、国家の名による組織的テロである。
「テロリストに屈するな」という言い方は、一方的に戦争を仕掛けられたイラクの人々にとっては、「アメリカというテロリスト国家に屈するな」という意味で、アメリカに投げ返す言葉になる。
イラク戦争の正当性がなかったことが白日の下にさらされている今、「テロリストに屈するな」はなんの説得力も持っていない。
アメリカは、アロヨ大統領の今回の決断に怒り心頭で、フィリピンへの報復措置も検討していると伝えられる。アメリカという国は、どこまで傲慢で愚かなのだろうか。
アロヨ大統領が孤立することのないよう、多くの国の人々とともに、今回の英断に声援を送りたい。
(追伸:「21世紀の歩き方大研究」の新世紀つれづれ草に、「アポロの月面着陸から35年、星条旗を掲げたのが間違いだった」をアップロード)
朝刊1面最初の3文字 朝日‥「日本経」 毎日‥「火山活」 読売‥「火山活」 日経‥「郵政事」
本日の地球 米カリファルニアで、大規模山火事相次ぐ。過去5年間で最大級。関東地方の各地では、史上最大級の猛暑続く。地球炎上の幕開けかも知れない。
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