サラダバーにみる客と店の静かな攻防戦
野菜をたっぷり食べたい時は、サラダバーのあるレストランがいい。
僕がランチタイムに時々行く新宿の店は、フレッシュで品数豊富なサラダバーが売り物で、野菜類20種類ほどのほかにメロンとキーウィがある。
単品で315円だが、サラダバー付きのランチメニューもあって、女性だけでなく男性にも「取り放題」のサラダは大人気だ。
取り放題とはいっても、そこにはルールがあって、客とお店との静かな攻防戦が繰り広げられる。
サラダバーを取る皿は、ウェイターないしウェイトレスがパンと一緒に持ってくる。まず、このパンの量の多さに、だれもが圧倒される。
ゆうに2人前のパンで、これにより客は、取っていいサラダバーの量に暗黙のプレッシャーをかけられる。
さらに、サラダバーの皿をテーブルに置く時必ず、さりげなく「一回限りです」と念を押される。
一回でも十分な量のサラダを取ることが出来るのに、なぜ毎回どの客にも、一回限りと念を押し続けているのか、不思議に思っていた。
その理由が分かった。
今日、僕の近くの席に、おばさんの二人連れがすわり、そのうちの一人だけがサラダバーを頼んだ。
崩壊するかと思うほど山盛りのサラダを取ってきたおばさんは、「さあ、おたべよ」などといって、もうひとりのおばさんと二人でピラミッドのようなサラダを、みるみるうちに食べつくした。
おばさんたちに限らず、グループや家族連れの中には、そのうちのだれか一人だけがサラダバーを取って、みんなで分け合うというのは、よくある光景なのかも知れない。
「一回限りです」と念を押すのは、お店にとってのギリギリの防衛ラインなのだろう。
僕の場合は、パンの量は無視して、食べたい野菜たっぷりとフルーツを、しっかり確保する。
ここに載せた写真のほかに、メーンディッシュとドリンクが来るので、パンは一個しか手をつけない。
残ったパンは、どうなるのだろうか。
つぎの客に出すのだろうか。捨てるのだろうか。
サラダバーの攻防の陰で、活躍の場を奪われたパンたちが、あわれな気もする。
追記:このレストランはその後、改装されてサラダバーはなくなった。その代わりに見つけたサラダバーのあるお店の話を、05年8月7日に掲載した。
朝刊1面最初の3文字 朝日‥「社会保」 毎日‥「米国産」 読売‥「昨年一」 日経‥「UFJ」
本日の地球 アテネ中心部で数千人が「オリンピックをやめさせよう」とデモ。一部が投石を繰り返し、警官隊が催涙弾で応戦した。五輪を支配する商業主義とアメリカの影。
21世紀の残り日数 35225日
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