1029万円の腕時計を買える層
AERAが「ブログライフの時代が来た」という特集を組んでいるので、買ってみた。
書いている記者が、ブログの仕組みをめずらしがり、その急成長に目を見張っている様子は伝わってくるが、記事全体が掘り下げに乏しく、あまり参考になる情報はない。
それよりも、このAERAで驚いたのは、なんと32ページにも渡る腕時計の広告特集が入っていることだ。
掲載されている腕時計は、だいたいが100万円台から200万円台で、それだけでも僕には気が遠くなりそうだが、こんなものは序の口なのだ。
300万円、400万円、600万円と上には上があり、871万円、さらに1029万円という値段を見るに至って、僕はクラクラしてきた。桁が間違っていないか。カンマの位置がずれているのではないか。
AERAだって商業ジャーナリズムである以上、高額商品の広告が掲載されること自体は、おかしくない。
しかし、である。2ページとか4ページの広告特集なら、まだ笑ってすまされるが、超高級腕時計ばかりを写真付きで、32ページにも渡って延々と見せ付けられると、いいかげんにしてくれ、と言いたくなる。
かつて朝日新聞社には、朝日ジャーナルという優れた週刊誌があった。
全共闘運動や市民運動が華やかなりし頃、「朝日ですが」と言って活動家たちに取材に行くと、「新聞かジャーナルか」と尋ねられ、新聞なら取材拒否、ジャーナルなら取材OKだった、という伝説が残っている。
朝日ジャーナルは、貧乏でも志に燃える市民たちにとって、最も信頼出来るジャーナリズムであり、時には羅針盤の役目も果たしていた。
AERAが創刊された時点で、朝日はジャーナリズムの機軸を、大きく転換させたといえる。ほどなく訪れた朝日ジャーナルの廃刊は、当然の成り行きであった。
今回のAERAの広告特集は、超高級腕時計をやすやすと購入出来る裕福層が、日本に確実に広がっていることを示している。
一方で、1万円か2万円の腕時計を買うために、さまざまなショーウィンドウを見比べて回り、ほかの出費を節約してようやく購入することが出来る非裕福層もまた、じわじわと拡大しつつある。
その国の国民の間に、どの程度の格差が出来ているかを示す「ジニ指数」という指標がある。通常は0.2から.0.3ぐらいが適正とされている。
先月、厚生労働省が明らかにしたところによると、最新のジニ指数は0・4983と調査を始めてから最も高い数字になり、日本社会が裕福な層と、そうでない層とに、大きく2極分化している実体が鮮明になった。
AERAはその購読層を、形成されつつある裕福層に置きつつあるのだな、ということが分かる。AERAだけでなく朝日新聞全体が、ターゲットを裕福層に置きつつあるような感じがしてならない。
社会の広大な裾野を形成する普通の市民層に軸足を置かずして、何のジャーナリズムぞ、と思う。
朝刊1面最初の3文字 朝日‥「付属病」 毎日‥「第20」 読売‥「読売新」 日経‥「日本経」
本日の地球 ロシア共産党が分裂。共産党であるからには、再度の社会主義革命をめざすのは当然だが‥‥。21世紀のレーニンは現れるか。
21世紀の残り日数 35243日
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