現金輸送車の積み込み現場をキャッチ
毎日通る交差点で、いつも同じ時間になると、公衆の面前で現金輸送車への現金積み込みが行われている。
金融機関への現金輸送車の積み出し・積み込み作業は、普通は表通りから見えない裏の駐車場などで行われているのが普通だが、この金融機関は裏の駐車スペースがなく、交差点に面した正面玄関前に、2台分の駐車スペースがかろうじてあるだけだ。
現金輸送車が来る直前になると、まず金融機関の係員が警棒を持って表に出る。
おっ、来るな、と思っていると、いつものワゴン車がやって来てスーッと玄関前に横付けされる。
中からヘルメットに制服、警棒を持った3人の男が、スパイ映画さながらに鮮やかなアクションで車から降り、うち2人がトランクから重そうな現金袋を取り出して玄関から中へ入る。
もう1人の男は、警棒を持ったまま、車の前で仁王立ちになって周囲に目を光らせる。
やがて5分ほどすると、中に入った2人の男がこんどは積み込む現金袋を持って出てきて、3人が車に乗り込むとスーッと発車して行く。
この間、交差点で信号待ちする人たちは、「ああ、いつもの現金輸送車だな」という顔をして、それ以上の関心は示さない。
ケータイで写真を撮っているのは、僕くらいのものだ。
これだけ大勢の通行人の前で堂々と、何の隠し立てもせずに現金の積み込みが行われると、かえって襲撃は不可能だ。
それにこの交差点には、信号機のところに警察に直結している防犯カメラがたくさん設置されていて、その意味でもすべてガラス張りなのだ。
隠れてやるから襲われるのであって、「公開」こそが最も効果的な防犯である、という見事なパラドックスが成立している。
21世紀の残り日数 35183日
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