原子番号113の新元素、0.0003秒の寿命に感動
原子番号113の新元素を、初めて日本人が発見したというニュースに、僕は心が躍る。
現在の教科書に載っている元素表は、原子番号112のウンウンビウムまでである。
ウンウンビウムとはまた、聞き上手の元素なのか、便秘気味の元素なのか、漫画に出てきそうな名前だ。
これに続く原子番号113の新元素を発見したのは、理化学研究所の研究員たちで、名前の候補には「リケニウム」や「ジャポニウム」があがっているという。
発見とはいうものの、自然界に存在しない元素の場合は人工的に作り出して、それが国際的に確認されれば「発見」ということになる。
僕は、この新元素の寿命の短さに、目をみはる。なんと0.0003秒。せっかく作り出されても極めて不安定のため、誕生とほぼ同時に寿命を終えて、ほかの軽い元素になってしまう。
こうした新発見に対しては、「何の役にたつものなのか」「何に応用できるのか」と問う声が必ず上がるものだ。
新元素はおそらく、それが直接何かの役に立つことはないだろうし、新素材として活用されることもないだろう。
しかし、直接的には何の役にもたたないからこそ、僕はこの「発見」に感動してしまう。そもそも、目にも顕微鏡にも見えないこの新元素が出来たことを、人間が確認できること自体が凄いではないか。
さらに、その寿命が0.0003秒しかないことを測定できるということにも、これまた驚嘆する。
瞬く間にというが、この元素は瞬く間すらなく生まれて消えてしまうのだ。
自然界に存在しないというが、本当にそうなのだろうか。ブラックホールになる寸前の、あらゆる物質が想像を絶する高温・高密度の星では、このような極めて重い元素が出来ている可能性はないのだろうか。
原子番号113の新元素と、僕を取り巻く日常との、あまりのつながりのなさに、むしろ深い感銘を受ける。
この不思議な感動こそが、僕と原子番号113とのつながりなのだ。
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