大型トカゲ台風23号の襲来が、ゴジラ襲来と重なる
雨がしだいに強まる中、どこか遠くのスピーカーが、チャイムの音を鳴らしている。役所の防災センターのチャイムのようだ。
雨が入り込むのも構わず、冊子戸をあけて聞いてみる。
ゆっくりとした、落ち着いた男の声で、一言一言、間を置きながら、しかし、緊迫した声で、次のように伝えている。
台風 23号が 近づいて います
これから 大雨が 予想 されます
充分 注意 して下さい
これが2回繰り返されて、再びチャイムが流れる。
おお、またもや台風の襲来か。年間最多上陸記録の6個が塗り替えられたといって、7個目の上陸に日本中が騒いでいたのは、9月上旬だった。
それが、あれよあれよ言う間に、もう10個目とは、これはもはや天変地異といってもいい。
今回の台風の名前は、トカゲである。
巨大トカゲの列島襲来は、ゴジラ第1作目の東京襲来を思わせる。
コジラが品川沖から上陸した時、東京全域に空襲警報を思わせる重いサイレンが繰り返し鳴り渡る。
ラジオのアナウンサーの声が、迫り来る危機を伝える。
「警戒警報! 警戒警報! ただいまゴジラは、第二台場へ上陸の模様。港区、品川区、大田区沿岸住民に、避難命令が発せられました。沿岸地区の住民は、至急非難して下さい。繰り返します‥‥」
このシーンは何回見ても胸がおどる。沿岸を固める多数の武装警官隊のカベをやすやすと突破して、ゴジラは銀座から有楽町を経て、国会議事堂へ。
行け、行け、ゴジラ! 和光時計塔も、国会議事堂も、ぶっ壊せ! ゴジラの怒りを、都市にぶつけろ! ちゃちな文明を叩き割れ!
この心躍るワクワク感。台風接近のワクワク感とどこかで重なるように思う。
ボクたちは心の底で、表層だけの文明がうろたえる様に、小気味のよさを感じているのかも知れない。
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