青く輝くイリュミネーションは、宇宙でもあり脳でもあり
新宿のマイシティに、不思議なイリュミネーションが登場している。
クリスマスないしは歳末商戦に向けてのムードづくりなのだろうが、商業主義が前面に出ることなく、ソフトな感じで一味ちがう飾りつけとなっている。
大きさが異なる白い球体が積み重なっている中に、さりげなくミラーボールが入っていてアクセントになっている。
目を引くのは、その回りに輝く青い小さな球体だ。点滅するわけでなく、ただ青い光を放っているだけなのだが、この落ち着いた感じが、さまざまなイメージを感じさせる。
この白い球体一つ一つが、独立した宇宙だとしたら、並行宇宙論や泡宇宙論のようでもある。青い球体は、無の揺らぎによって生まれたばかりのベビー宇宙なのかも知れない。
老いた宇宙は、ミラーボールのようにほかの宇宙の姿を反射光として投げ返しながら、やがてシャボンダマのように壊れて消えるのではないか、という気もする。
もうちょっと引いて眺めると、これは僕たちの脳のシステムそのものであるようにも見えてくる。
僕たちが自分の意識や感情、心、精神、思考、意思と思っているものの正体は、無数の脳細胞同士の間で絶えず起こっている、このイリュミネーションのような現象なのかもしれない。
それで思い出すのは、宮沢賢治の「春と修羅」序である。
わたくしといふ現象は
假定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
愛も歓びも悲しみも怒りも苦しみも、意欲も希望もインスピレーションも決意も、このような反応と惹起の過程なのだと思うと、この青い輝きがいとおしくなってくる。
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コメント
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投稿: 秋葉OL | 2004/12/07 09:02
Rough Toneさん、こんにちは。TBとコメントありがとうございます。こちらからも「What A Mad Universe!」の記事にTBさせていただきました。
「フェッセンデンの宇宙」。まさにそんな感じですね。
科学者フェッセンデンが発明した水槽の中にある細かいチリ。そのチリの一つ一つが星で、そこには多くの生物が生まれて進化し、文明も誕生していた。フェセンデンはこれらの星を、意のままに操ったり消滅させたりして楽しんでいる、というような話でしたね。
僕たちのこの宇宙も、何者かが創り出したイリュミネーションの中の一つの球に過ぎないのかも‥‥。
投稿: BANYUU | 2004/11/23 09:11
こんばんは
私は写真を拝見して、なんとなく「フェッセンデンの宇宙」という言葉を思い出しました。昔、内部が光る天球儀などというものがあれば、部屋にぶら下げてみたいとも思っていました。
多元宇宙。どっかにブッシュがいない宇宙がないかしらん。
投稿: Rough Tone | 2004/11/23 06:01