駅の線路わきにススキの群れを見つけた
僕が利用している駅で、線路と線路の間にたった1カ所だけ、ススキが群れているところがあることに気づいた。
毎日利用していて、なぜいままで目にとまらなかったかと、不思議に思う。
ススキが見えるかどうかは、心の目が開いているかどうかによるのかも知れない。
この駅を通過して走る中央線の快速電車を入れて、ススキをケータイで撮ってみようと、しばしホームでシャッターチャンスをうかがう。
家に帰ってから、ススキについて調べてみる。ススキの生息地は、日本のほかに中国、朝鮮とある。古来から日本文化に大きな影響を及ぼしてきた地域で、いま日本が最も仲良くすべき国々ではないか。
「山は暮れて 野は黄昏(たそがれ)の 芒(すすき)かな」 というのは蕪村の句だ。蕪村らしく、光景が絵画のごとく浮かぶ。
ススキを歌った曲では、失意のさなかの野口雨情が作った詩に、中山晋平が曲をつけて1921年に世に出した、「船頭小唄」が有名だ。
「おれは河原の枯れすすき 同じお前も枯れすすき どうせ二人はこの世では 花の咲かない枯れすすき」
この歌が大流行したさなかの1923年に関東大震災が起こり、幸田露伴が「このような退廃的な歌が流行ったから大震災が起こったのだ」と批判して話題になった。
それはともかく、ススキは枯れているのか生きているのか判然としないところが、どちらかに決めようとする二元論にそっぽを向いていて、なかなかいい。
ススキの花言葉は「生命力」。これはいかにもススキにふさわしい。ほとんど枯れているようでも、どっこい死んではいないのだ。
きっとススキをこよなく愛する人がつけたのだろうな、と思う。
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