文字が大きくなった新潮文庫でドストエフスキーを読む
このところテレビも映画も見ることなく、引きこもり気味の日々が続いている。いったんは旅に出ようと思って、新幹線やら宿の手配もしたのだが、直前になって面倒くさくなって、すべてキャンセルしてしまった。
こういう時は、じっくりと読書の世界に没入するに限ると思い、まずはドストエフスキーの中でも僕がついぞ読むきっかけをつかめかった「白痴」と「悪霊」を読もうと思い立った。
ところが、こんなに名高い作品というのに、どの大書店を回っても、また系列の他店を探してもらっても、まったく置いてないのには驚いた。
ドストエフスキー全集というのが、過去に何度もさまざまな出版社から刊行され、10年ほど前には筑摩書房から出ているが、現在はすべて絶版になっている。
新潮世界文学というシリーズがあって、ジュンク堂や紀伊国屋書店には一部が並べられてある。何巻か含まれているドストエフスキーは、どれも品切れになっていて、もはや絶版状態のため注文しても取り寄せ不可という。
そこで残るは、古書を探すか、文庫本で我慢するか、どちらかしかなくなる。
古書はいろいろとネットであたってみたが、シミやヤケのあるチョー古いものはあるが、筑摩の全集は全巻揃いで19万円もするし、筑摩や河出書房のバラとなると全く出ていない。
文庫本は、新潮文庫がドストエフスキーものをたくさん出しているが、文庫は文字が小さくてとても読めたものじゃないだろう、と僕は思い込んでいた。
ところが、である。新潮文庫がいま、文字の小さい版から文字の大きい版へと切り替わっている最中であることを、僕は初めて知った。
書店には、「罪と罰」のように文字の小さい版と文字の大きい版と、両方を棚に並べてあるケースもあることが分かった。文字の大きい版は、ページ数が多くなって、定価も高くなっている。
「白痴」は幸いにして文字の大きい版になっていて、これならば全集ものよりもずっと大きな文字で読むことが出来る。
「悪霊」については、数日前に見た時には文字の小さい版しかなくて、がっかりしたのだが、今日、もう一度書店に行ってみたら、なんと文字の大きい版が出ているではないか。わずか数日のことで、これはまるで夢のようだ。
というわけで、この冬は当分の間、ドストの世界に閉じこもろうと思っている。
旅に出るのは、春が来て暖かくなってからだ。
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コメント
前田慶次郎さま、こんばんは。
ドストエフスキーの新潮文庫では、ほかに『死の家の記録』が大きな文字になったので、こんどはそれを読むつもりです。ほかの作品については、僕も文字が大きくなるのを待とうかなと思っています。またいろいろと情報を教えてください。
投稿: BANYUU | 2005/01/29 20:06
BANYUU様、コメントありがとうございます。
ドストエフスキー、いいですよね。
私は『貧しき人びと』と『地下室の手記』を次に読もうかなと考えております。ただ、文字が大きくなるのを待っておりますが。
ではでは。
投稿: 前田慶次郎 | 2005/01/29 18:41
秋葉OLさん、TBありがとうございました。こちらからもTBさせていただきました。
文庫本は文字が小さいというイメージは、いまや覆りつつありますね。大きな文字の新潮文庫は、ハードカバーの全集ものよりも字が大きくて読みやすく、読者層を大きく広げると思います。
岩波文庫も、とくに宣伝はしていないのですが、「罪と罰」などは大きな文字に切り替わっていて、こちらも今後、さらに切り替えが進むのではないでしょうか。
投稿: BANYUU | 2005/01/14 15:57
とらっくばーっく。
タイムリミットで浅い考えでかいちゃった。
プロのアドバイスも希望!
投稿: 秋葉OL | 2005/01/14 02:22
大きな字で作り直している最中なのですね。「悪霊」などは両方が棚に並んでいて、比べてみると読みやすさは歴然です。文字の大きなものはページ数が増えて、値段もいくぶん高くなっています。見分けるコツは、本体の(オビではなくて)背の定価のところにアンダーラインがあるものが、文字が大きくなっている版です。
投稿: BANYUU | 2004/12/27 10:38
新潮文庫は20年位前?大きくなったと思うけど、
古い作品を大きな字で作り直すということですか。
値段もかわるのか~
投稿: 秋葉OL | 2004/12/27 10:24
tomoさん、こんばんは。年末年始にドストエフスキーはいいですよね。僕は「白痴」を3分の1くらい読んだところです。年が変わるころには「悪霊」を読んでいたいです。「カラマーゾフの兄弟」は新潮文庫で字の大きいのも出てるんですね。いずれ、これも再読したいと思っています。
投稿: BANYUU | 2004/12/26 22:21
BANYUUさん、こんばんは。
私もこの年末年始はドストエフスキーを読もうと思っています。
「カラマーゾフの兄弟」。
新潮文庫の字の小さい版です。
投稿: tomo | 2004/12/26 22:07