大津波の死者2万2000人、人間は壊れやすい存在
スマトラ島沖地震による大津波での死者は2万2000人超という。被害はインド洋周辺の国々から、アフリカのソマリアやケニアにまで広がっている。
インド洋の島々からなるモルディブの首都マレは膝上まで水に浸かっており、モルディブ政府は緊急事態を発令した。
人間の肉体とは、なんともろくて壊れやすいものなのだろうか。
肉体もそうだが、人間の精神もまた、きわめて不安定で脆弱なものだ。
人間の築き上げた文明もまた、人間の肉体や精神とおなじくらいに儚く、長続きしないものなのだ。
もうずいぶんと昔のことになるが、僕の郷里の新潟で大地震があった。
学生だった僕は、同郷の学生たちと一緒に夜行の急行列車に乗り込み、郷里に向かった。
新潟に近づくにつれて、線路の状態はしだいに悪くなっていき、列車はひんぱんに立ち往生するようになった。
石油タンクの爆発・炎上によって、周辺の民家も多くが炎に包まれ、いつ動き出すとも知れない列車の窓からも、赤々とこげる夜空が前方にうかがえた。
列車は4日4晩もかかって、ようやく新潟に着いた。
水道もガスもとまって大混乱のさなかに、僕が帰省したところで足手まといになることは目に見えていた。
それでも、家族の無事な姿をこの目で確認せずにはいられなかったのだ。
信濃川にかかる橋げたは落ち、4階建ての鉄筋コンクリートの県営アパートは横倒しになっていた。
石油タンクや民家が炎上した臨港町にあったM子さんの家は、跡形もなく燃え尽きていた。
M子さんの消息が分からないまま僕は再びキャンパスに戻り、怒涛の学生運動の荒波に呑みこまれていった。
時はめぐり、あれから数十年が経過した。
列車の窓越しに見えた、赤々と燃える夜空が、つい昨日のことのようにまぶたに浮かぶ。
追伸(12月30日) スマトラ島沖地震による死者は、各国で合わせて12万人を超えることが確実になった、という。
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コメント
誠に申し訳ありません。
TBいただき、TBを返信したつもりが、違う記事を送ってしまいました。削除していただければ幸いです。
投稿: zig zag road | 2004/12/28 00:32