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2005/01/05

ドストエフスキーの「白痴」を読了

年末から読み始めたドストエフスキーの「白痴」を、文字の大きな新潮文庫版で読み終えた。

なぜいままで、この作品を読む機会がなかったのだろうかと、悔やまれる。

こうした長編小説は、社会人になってしまうとなかなか読み始めるのは難しいことも事実ではあるのだが。

読後感をひと言で書くのは難しいが、まさしくこれぞドストエフスキー的世界であり、物語運びの巧みさと迫力に圧倒されながら、一気に読んでしまった。

ラストの壮絶さには絶句する。このような結末が待っているとは衝撃的で、まさにこれこそが人間というものの不条理さなのかも知れない。

僕が強く引かれた人物は、粗野で生活感あふれるロゴージンと、奔放で無垢なナスターシャ・フィリポヴナだ。

主人公のムイシュキン公爵はあまりにも善良すぎて、感情移入すればするほど、心が痛んでやるせなくなってくる。

アグラーヤは良くも悪くも、美しくて優しく自尊心の強い女の典型で、男だったら心引かれながらもイライラさせられるだろう。

もう数ヶ月早くこの小説を読んでいたら、さまざまな物事への僕の処し方も、また違ったものになっていたかも知れない。

明日から、同じドストの「悪霊」に挑戦する。

(表の新着情報:「21世紀の歩き方大研究」の新世紀つれづれ草に、「元日から1週間ほどは、なぜ時間の進み方が遅いのだろうか」をアップロード)

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コメント

オグさん、はじめまして。TBとコメント、ありがとうございます。
この混迷の時代にこそドストですね。僕は次は「貧しき人びと」か「死の家の記録」あたりをと思っています。
これからもよろしくお願いします。

投稿: BANYUU | 2005/07/08 10:02

はじめまして。
「悪霊」ですか。
僕は来年くらいの挑戦になるかと思います。
次に「未成年」のつもりでおりますが…。
ドスト氏の好きな方が見つけられて、嬉しいです。

投稿: オグ | 2005/07/08 02:21

tomoさん、こんにちは。年末年始はほかにやることもなかったので、「白痴」は思ったより早く読むことが出来ました。
「カラマーゾフ」は文庫本で3冊もあって、読むのに時間がかかると思いますけど、読みごたえのある作品なので、じっくりと楽しんで下さいね。

投稿: BANYUU | 2005/01/06 10:05

BANYUUさん、こんばんは。
「白痴」もう読み終えたのですか!!??
早いですね。
私の「カラマーゾフ」はまだまだ上巻のほんの数ページ進んだだけです。。。

急いで読まなくっちゃ!

投稿: tomo | 2005/01/06 00:16

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書き出しのところを熟読している。 ムイシュキン公爵とロゴージンの人物描写は、まさにドスト氏流。 ただ克明であるだけでなく、その人物の核心を象徴化するような鋭い描写だ。 「罪と罰」の時にも感じたが、この人物描写は誰にも真似できないと思われるほどの魅力を持っている。 この二人のキャラが正反対であることに注目。 ムイシュキン公爵は聖人であり、ロゴージンは野人だ。 「罪と罰」よりも、かなり読みやすい。新潮文庫の文字が大き... [続きを読む]

受信: 2005/07/08 02:16

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