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2005/01/10

ダム・道路・空港‥インフラが廃墟になっていく

日本の国債や地方債の累積残高が、対GDP比で151%の774兆円に達しているという、世界に例をみない危機に対して、「全く心配はいらない」という説明をする政治家がいる。

たとえば亀井静香・元自民党政調会長などがその代表といっていいのだが、「赤字国債はドブに捨てたお金ではなく、道路や橋などの社会資本となって国民の財産になっている。だから、累積残高が増えても何の心配もいらない」というのだ。

なるほど、そうなのか、という気にもさせられるが、じつはこうした論法がとんでもない詭弁であることが、しだいに明らかになってきた。

これは日経新聞あたりが年明けてから力を入れている少子化問題キャンペーンの記事に書かれているのだが、社会資本の過度の充実が実は、少子化の進展によって思いもよらない重荷となりつつある、というのだ。

それによると、日本の公共投資は過去40年間に1000兆円に達している。とりわけ90年代には400兆円を投入して、ダムや橋、道路、新幹線、空港、競技施設などをつくり続けてきた。

しかし、人口が増え続けていくことを前提に作られてきたこれらのインフラの多くが、人口の頭打ちや少子化のあおりを受けて、あてにしていた利用者の伸びがないまま、経営難でにっちもさっちもいかなくなっている。

このまま維持をつづければ、ますます借金がかさむばかりだが、かといって周辺環境を保ちながら撤去するとなると、建設と同じくらいに莫大な費用がかかるため、それもままならない。

まもなく始まる人口の急減少によって、21世紀末の日本の人口は半分近い7000万人にまで落ち込む。

もはや、インフラが廃墟と化していくのを放置するしか方法はないかも知れない、という戦慄の結論が導き出される。

「いよいよ社会資本の殺し方を研究するときが来た」という、昨日の日経記事の元土木学会会長のコメントが生々しい。

この記事のメッセージは、「世界に先駆けて人口減社会に突入する日本。いっそ社会資本破壊の手本になるという手もある。廃墟を生かす道もあろう。ダムを壊す日に備える想像力が必要だ」とある。

1000兆円もかけて整備してきたインフラが、つぎつぎと廃墟と化していった時、国民に残されたのはまさしく1000兆円を超す借金だけとなる。

これでも心配ない、と言い続けますか。亀井のおとっつぁん。

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