北朝鮮が核兵器をつくったと声明、窮鼠猫を噛む危険
朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省は10日、第2期ブッシュ米政権の対北朝鮮政策と関連して声明を発表、核問題に関する6カ国協議について「参加を無期限中断する」と表明した。 また「朝鮮人民が選択した思想と制度、自由と民主主義を守るため、核兵器庫を増加させる対策を講じるであろう」と指摘、核抑止力の強化も強調した。 さらに「われわれは、ブッシュ政権の増大する(北朝鮮)孤立圧殺政策に対抗して自衛のための核兵器を製造した」とした。(北京・共同)
これは日本にとっても、アジア全域にとっても、また世界全体にとっても、重大な事態である。
サダム・フセインは「ない」ものを「ない」と言ったのに、ブッシュは「ある」と思い込んで戦争を始めた。
キム・ジョンイル政権の「ある」は、単なるブラフだろうか。しかし「ない」ものを「ある」とは言わないのではないか。
ブッシュは「脅しに屈しない」と強気に出るだろうが、北朝鮮がミサイルに核弾頭を装備した場合、やすやすと射程距離に入るのは韓国と日本なのだ。
日本国内では、拉致問題をめぐって、とりわけ横田めぐみさんのものとされた遺骨の鑑定結果をめぐって、対北朝鮮強硬論が噴出している。
経済制裁せよ、の勇ましい声が日増しに高まる一方で、北朝鮮は「経済制裁は宣戦布告とみなす」と表明している。
過去の歴史をみても、戦争の勃発というのは、じつに些細な出来事が引き金となって起こっている。
アメリカや日本が、強硬姿勢を貫くならば、戦争に突入する可能性は決して少なくないのだ。
いったん戦争が始まれば、北朝鮮は軍事力を総動員して戦うだろうし、核兵器を持っているのならば最も効果的なタイミングで使用するだろう。
最初の核弾頭は、韓国と日本の米軍基地に向けて発射され、間髪をいれずにソウルと東京に向けて発射されるかも知れない。
これに対してアメリカは直ちに平壌に核の報復を行い、捨て鉢になった北朝鮮は全面核戦争の中で自爆することさえ想定される。
極東を舞台にした第3次世界大戦は、欧州やロシア、中国が止めるまもなく始まって、わずか数日間で終わるだろう。核の打ち合いという主要な戦局は、数時間で終わるに違いない。
しかしその段階で、地球全域にばらまかれる放射能と環境破滅によって、世界もほどなく終焉する。
こんどの戦争は、勝者なき戦争なのだ。
正論をふりかざして北朝鮮を追い詰めていけば、窮鼠猫を噛むの危険は高まるばかりである。
強硬派の指導者たちは、核戦争になってもやむをえないから北朝鮮には絶対に譲歩するな、というのだろうか。
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コメント
小泉首相は今日、テレビ東京で収録された番組で、今回の北朝鮮声明について、「平和的解決しかない」として、経済制裁について改めて慎重な姿勢を示した、ということです。経済制裁発動論が高まる中で、こうした冷静な対応こそ、いま最も必要なのではないか、と思います。
投稿: BANYUU | 2005/02/11 21:52
>強硬派の指導者たちは、核戦争になってもやむをえないから北朝鮮には絶対に譲歩するな、というのだろうか。
というのは反語だと思いますが、ずるずると譲歩してきた結果がこれなんです。
逆にお聞きしたいんですが、「だから譲歩しろ」というご意見なのでしょうか?
投稿: wowow | 2005/02/11 19:46