日本フォークの草分け、高田渡さん死去
日本のフォークソングの草分け、高田渡(たかだ・わたる)さんが亡くなった。56歳だった。
高田さんが活躍していた若いころのことは僕は知らないが、NHKの「フォークソング大全集」といった番組にはたびたび登場して、ひょうひょうとした風貌が印象的だった。
番組に出演中も、体調がよくないらしく眠ってしまいそうになったりして、司会の坂崎幸之助さんをはじめとするフォーク仲間たちががいつも気遣っていた。
高田さんがテレビでよく歌ったのは、「値上げ」と「生活の柄(がら)」だ。
この「生活の柄」は、山之口貘さんの歌詞に高田さんが曲をつけたものだが、高田さんの人生そのもののようで、とても胸にしみるいい歌だ。
高田さんへの追悼の気持ちを込めて、「生活の柄」の歌詞を載せておきたい。
「生活の柄」 歌詞・山之口貘 作曲・高田渡歩き疲れては、夜空と陸との隙間にもぐり込んで
草に埋もれては寝たのです。ところかまわず寝たのです
歩き、疲れては、草に埋もれて寝たのです
歩き疲れ、寝たのですが眠れないのです近頃は眠れない。陸を敷いては眠れない
夜空の下では眠れない
揺り起こされては眠れない
歩き、疲れては、草に埋もれて寝たのです
歩き疲れ、寝たのですが、眠れないのです。そんな僕の生活の柄が夏向きなのでしょうか
寝たかと思うと寝たかと思うと
またも冷気にからかわれて、
秋は秋からは、
浮浪者のままでは眠れない。
秋は秋からは、
浮浪者のままでは眠れない。
テレビで見る高田さんは、白いひげのせいか、いつもとても老けて見えた。まだ56歳だったとは、ずいぶん苦労があったのだなあ、と思う。
高田さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
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