探し物はなんですか? ホームでみかけたこんな光景
人生いろいろ、人はさまざまだが、不思議な格好をしている人がいるものだ。
駅のホームで、さっきから自販機の下を覗き込んで、何かを探している人がいる。
屈伸運動をするように思い切り前かがみになって、頭をホームの床スレスレに垂らし、両足の間から自販機の下を覗いている。
よく観察してみると、覗いているだけでなくて、ビニールの傘を下に突っ込んで、何かを掻き出そうとしている様子なのだ。
お金でも落として、自販機の下に転がっていったのだろうか。
それにしても、右から左から、前から後ろからと、自販機の四方からこの格好をして傘を突っ込んで、何かを掻き出そうとしている。
一箇所の自販機をあらゆる角度から除いて、ひとしきり傘を突っ込んだ後は、また別の自販機のところへ行って、同じことをやっている。
自販機の下から、傘を使って掻き出そうとしているものは、この男にしか見えないものなのかも知れない。
どこを探しても見当らなかった、大事なもの。それはこの男の失われた過去か。それとも明日への希望なのか。
僕の乗る電車がきたので、いつまでもこの男に付き合っているわけにはいかない。
この後、男は探し物を見つけることが出来たのだろうか。
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