サイゴン陥落から30年、何も学ばなかったアメリカ
今日4月30日で、ベトナム戦争に終止符を打ったサンゴン陥落から30年。
あの日、僕がテレビで見たのは、サイゴンの空港から先を争って逃げ出そうと航空機やヘリに殺到するアメリカ人と親米のベトナム人たちの、信じられない光景だった。
まさにアメリカの敗走する姿がそこにあった。世界は変わりつつあるのだという熱い思いがこみ上げてきた。
ベトナム戦争の実態について僕たちは、あまりにも知らなかった。新聞もテレビも、ほとんどが米軍の発表する大本営のものばかりで、この国で何が起きていたかは、全くといっていいほどニュースで伝えらなかった。
そのため、いきなりテレビで映されたアメリカの大敗走シーンは、衝撃的だった。
あれから30年が経つのか。30年といえば人生の半分である。10年で世界がすっかり変わる時代に、30年の歳月はあまりにも重く大きい。
はずかしながら、僕がベトナム戦争について、おぼろげながら思いをはせることが出来たのは、すべてアメリカ文化を通じてだった。
映画の「プラトーン」、「フルメタル・ジャケット」、「グッドモーニング・ベトナム」等々。
とりわけ、マイケル・J・フォックス主演の「カジュアリティーズ」はショッキングだった。
そして演劇の「ミス・サイゴン」。ここではサイゴン陥落時の混乱の中、脱出するヘリコプターのシーンが息をのむ迫力だ。
ベトナム人の側から描いたベトナム戦争も、さまざまなものが作られていると思うが、不覚にも僕はどんなものがあるのかよく知らない。
それにしても、30年も経つとアメリカの中でさえ、ベトナム戦争は過去のものになりつつあるのだろうか。
結局のところ、ベトナム介入の過ちと敗北から、アメリカは何も学んでいないのだ。力こそ正義であり、圧倒的な軍事力によって世界のすべてをアメリカの国益に従属させるのは当たり前、という傲慢の極み。
アメリカの支配が崩れるのは、いつのことだろうか。驕る平家は久しからず、のはずなのだが。
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