イカ釣り船のいさり火に青色発光ダイオード
新しい科学技術が思いがけない分野で思いがけない効果をあげていることがある。
胃カメラに代表される内視鏡がいい例だ。
もともとは医療用に開発された内視鏡だが、いまや考古学や古美術の分野に欠かせない。
発掘したり掘り返すのが難しい石室や墳墓、あるいは解体出来ない貴重な仏像などの、内部を調査するのに内視鏡は絶大な威力を発揮している。
昨日の新聞に載っていたイカ釣り船のいさり火の話にも驚いた。
これまでは海岸などからも見える白色の集魚灯を使ってきたが、これを青色発光ダイオード(LED)に切り替える準備が進んでいるというのだ。
巨額の発明の対価をめぐって社会的関心を呼んだ青色LEDが、街のイリュミネーションを大きく変えたと思ったら、こんどはいさり火とは、その応用範囲の巨大さとインパクトの強さをうかがわせる。
イカが泳ぐ水深100メートル以下までなら、これまでの灯りよりも青色LEDの方が届きやすく、消費電力は30分の1以下、しかも従来の灯りのように船上の温度が10度以上も上昇することはない、という。
水産庁は07年度から実用化を始め、全国の5000隻のイカ釣り漁船のいさり火を、青色LEDに順次切り替えるよう融資面などでも支援していくという。
夜中に水面で火をたくと、集まってくる習性を持っているのは、イカのほかに、イワシ、アジ、 サバ、イサキなど。逆にアユ、サワラなどは逃げる習性がある。
いさり火は電気のない時代には、アセチレンガスやカーバイドが使われていた。さらにその昔は、船の先端で松明を燃やす時代が長く続いていた。
いさり火に河鹿(かじか)や浪の下むせび 芭蕉
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