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2005/07/21

アポロの月面着陸から36年、人類は前進したのか

img01136年前の今日、アポロ11号による人類初の月面着陸が世界中を興奮に包み込んでいた。

あの日、僕は高校野球の地方大会が行われている球場で、トランジスタラジオによる生中継に聞き入っていた。

ヒューストンと月着陸船イーグルとの長い時間をかけた交信。そのやり取りが、当時としては珍しかった同時通訳で、逐一、ラジオとテレビで伝えられていく。

「すべて順調、すべて順調」という同時通訳のことばが、何度も何度も聞こえてくる。

当時の交信記録を音で記録した朝日ソノラマが僕の手元に残っている。

これを見ると、イーグルが月面に着陸してから、点検や準備などにじっくりと時間をかけていて、アームストロング船長が月面に足をつくのは9時間43分後のことだ。

アームストロング船長は「この一歩は小さいが、人類にとっては偉大な躍進だ」というあの歴史的な言葉を発した後、月に置いてくる銘板の文章を朗読する。

「惑星地球からの人間、ここに月への第一歩をしるす。西暦1969年7月。われわれは全人類を代表し、平和のうちにここへやってきた」

長い間、SFの世界の話でしかなかった月世界探検が、いま同時進行で実現しているのだという、不思議な感覚はいまでも忘れられない。

だが、あれから歳月が流れ、アポロ11号の偉業が遠い昔の出来事となった今、人類はこの間にどれほど進歩したのだろうかと思う。

科学技術の発展は著しいとはいえ、人類はエイズも癌も克服できていない。地震や津波、風水害などに対しては、いまだになすすべもない。

富める国と貧しい国の格差はますます広がり、富める人々と貧しい人々の開きはますます拡大している。

地上では、テロに対する戦争と、それに対するテロの歯止めなき応酬はエスカレートするばかりだ。

いまのアメリカのやり方を見ていると、これが月への着陸を実現させた同じ国なのかと疑問に思う。

アメリカは自らの力への過信と傲慢によって、あの一歩を人類の偉大な躍進につなげることに失敗したのではないか、という気がしてならない。

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