台風一過の炎天、ウナギで暑気払い
台風一過で、昨夜までの荒天がウソのような青空が広がり、気温はウナギ登り。東京の新木場や八王子では36.3度の猛暑となった。
カッと照りつける暑さに食欲もなくなり、久々にウナギ屋へ足を延ばす。開店前からもう客が並んでいる。
土用の丑の日は明日だが、別に丑の日でなくたって、猛暑で体が欲した時がウナギの食べ時なのだ、と勝手に解釈する。
ウナギといえば、貧乏学生だったころを思い出す。
当時、ウナギは超高価な食べ物で、仕送りとバイト代では、ウナギ屋に入ることなど、とても無理だった。
下宿の近くに、公設市場のようなものがあって、夏になると時々、ウナギの蒲焼を格安の値段で売り出した。
僕は、信じがたいほどの安値で売っているウナギを、なけなしのお金で買う。
しかし問題は、白飯が手に入らないことだった。
いまのような、ホカ弁屋さんがあるでなし、レンジ用のバックご飯もない時代だ。
そもそも電子レンジなど日本になかったころの話なのだ。
そこで僕は、同じ公設市場で食パンを買う。
下宿に帰った僕は、ウナギの蒲焼をナイフで4つに切り分け、8枚の食パンにはさんでサンドウィッチにする。
手作りのウナギサンドは、さつぱりとしていて意外に美味しかった。
僕にとって、このウナギサンドは、生卵を乗せたチキンラーメンとともに、学生生活最高の贅沢なご馳走であった。
あの公設市場は、もうなくなったのだろうか。遠い夏の日の思い出である。
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