郵政参院否決なら解散というのはブラフか
映画「ローマの休日」の最初のほうに、グレゴリー・ペックら新聞記者たちが、次の仕事に取り掛かるまでのつかの間を、トランプで時間つぶしをしているシーンが出てくる。
どこも同じなんだなあ、と僕は思う。日本の記者クラブなどでは、マージャンや花札が多いが、トランプもよく行われている。
事件待ちの時間つぶしにやるトランプで壮絶だったのは、某記者クラブでのポーカーだ。
自主ルールによって、1回に積み増しする金額は2万円が上限とされていたが、それがデスマッチになる。
テが悪いメンバーが降りて、二人だけが残り、その一人はツーペアしかないのにブラフで1万円をはる。
ところがその相手は、その上に2万円、とはってくる。相手は本当にいいテなのか、ブラフなのか。それをどう読むか。
ここでツーペアの方は、相手を下ろさせるために、さらに2万円を積む。
しかし相手は、下りるどころか、その上に2万円、と言ってくる。こんどは、ツーペアの方が、下りるか乗るかの判断を迫られる。
回りが息をのんで見守る中、ツーペアの方が「乗った」という。2万円を2度に渡って積んで挑んできた方のテは、ワンペアでしかなかった。
これは、結果的にワンペアの方のブラフを読みきったのだが、逆にスリーカードだったりして、乗って悲惨な結果になることも多い。
ブラフとは、こけおどしする、威嚇する、はったりで切抜ける、などの意味だ。
いま小泉首相が盛んに、郵政民営化法案が参院で否決されたら、衆院解散だとあちこちで言い散らしている。
普通の首相は、周囲がみな衆院解散を周知の事実としていても、「まったく考えていない」と否定するのが常だったが、小泉首相は逆だ。
これは、参院での否決を阻止するためのブラフなのだろうか。それとも、否決されれば本気で解散するつもりなのか。
解散・総選挙になれば、自民党は100議席を減らして下野せざるを得ない、と週刊誌などが書きたてている。
郵政民営化反対の参院議員は、下野を承知で反対票を投じる覚悟があるのかどうか。参院だから議席を失うわけではないとはいえ、与党となるか野党となるかは天と地の違いだ。
僕としては、ここまで大幅に後退して骨抜きになった郵政民営化法案なら、何も今国会で通す必要もないように思う。
参院否決→総選挙→自民と公明の惨敗→自民の下野と政界大編成。外交も財政もすべてが行き詰ってしまった日本は、このくらいの出直しが必要なのだと思う。
しかし、こうした期待はいつも見事に裏切られ、結局は参院の反対派議員が懐柔されて、僅差で郵政法案可決・成立なんてことになるのがオチなのだろうなあ。
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