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2005/08/18

総選挙で郵政民営化だけを問うのはおかしい

総選挙という国民にとっての最大の主権行使の場が、いとも軽々と弄ばれているのではないだろうか。

いまから思うと小泉首相は最初から、郵政民営化法案の衆院可決・参院否決という流れになるように巧妙に挑発し、かつ誘導してきたような気がする。

小泉首相がねらっていたのは、郵政法案をいったん廃案にして衆院を解散し、それによって自民党内の抵抗勢力の一掃をはかることだったのだ。

反対した議員の非公認と刺客の送り込みは、残暑の中の格好の小泉劇場として、マスコミが面白おかしく連日トップ扱いで報じ、日本中が完全に小泉マジックにはめられた感がある。

このあたりで少し冷静になって、こんどの選挙で国民は何を基準にして一票を投じるべきかを考えて見る必要がある。

郵政民営化に賛成か反対か、という小泉首相の単純な争点提起は、それ自体がとても乱暴である。

今日の日経夕刊の「十字路」というコラムに、国定浩一・大阪学院大学教授が「郵政改革は必要だと考えるが、今回の法案は形だけの改革で、四事業の完全分離が確保されるかなど旧態が温存されるのではないかとの思いを払拭できない」と書いている。

このように、郵政改革は必要だと思うが、骨抜きになってしまった今の法案ならば反対、という人は決して少なくないと思うのだが、小泉首相はこういう人たちにも民営化反対派のレッテルをはるのだろうか。

さらに郵政改革の位置づけは最も重要なところだ。小泉改革の基本は、アメリカ流の市場主義経済を日本社会のすみずみまでいきわたらせ、競争原理と効率優先原理によってムダで不経済の部分を切り落とそうというものだ。

この流れの中で小泉改革が進んでいくと、勝ち負けのハッキリした社会となる反面、格差の拡大と貧困層の増大が大きな問題となってくる。

国と地方の借金の合計が1000兆円を突破している状況の中で、公費の大幅削減はもはや喫緊の課題だ。

総選挙では、こうした破綻に瀕した財政のもとで、どのような社会をつくっていくのか、という基本的な理念とプロセスを国民が考え、選択する場でなければならない。

郵政民営化に賛成か反対か、という争点の矮小化は、こうした最も大切な問題での国民の選択を妨げるのではないだろうか。

(表の新着情報:「21世紀の歩き方大研究」の21世紀エッセイ「時間の岸辺から」に、「何でも入力変換に頼って、難しい漢字が書けなくなった」をアップロード)

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