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2005/09/30

僕を阪神ファンにした恐るべきスキヤキの話

今日のブログは、「表」の21世紀エッセイ「時間の岸辺から」と連動して、同じテーマについて書く。

20年前の1985年、2年前の2003年、そして今年2005年。

阪神タイガースの優勝は、いつも僕を陶酔させ、極上の快感によってしばし、世俗の憂さを忘れさせてくれる。

とりわけ今年は、本拠地での巨人戦で胴上げを勝ち取っただけに、チームもファンも感慨ひとしおである。

1985年の優勝の翌年、僕はそれまで通算12年間勤めた職場を離れて、技術系職場に異動することになった。

その時、異動が発表された部会で、僕は部を去る挨拶の中でやおらラジカセを伴奏に、六甲おろしを3番まで歌い、居並ぶ部長以下全員を唖然とさせた経歴を持つ。

僕がなぜ阪神ファンになったかについては、実は深~いワケがあるのだ。

この話は、パソコン通信時代にどこかの談話室で一度書き、さらにその後、ASAHIネットの超長行の自己紹介の中や、98年7月の「表」の「大世紀末つれづれ草」でも書いているのだが、稀有の話なので阪神優勝記念として、このブログでも紹介しておきたい。

話は、僕がまだ小学1、2年のころに遡る。当時、父が勤務する会社が移動動物園というのを主催して、県内を巡回して回っていた。

その移動動物園で、一頭のトラが夜中にオリの中で暴れたらしく、高圧電流に触れて感電死するという出来事があった。

このニュースが報じられて2、3日後のことであった。いつも帰りが遅い父が、なぜか早く帰ってきて、「今日はスキヤキだぞ」という。

父が持ってきた包みには、1キロほどもあろうかという赤身の薄切り肉があった。豚肉ですら高価でめったに食べられなかった時代だ。

そのスキヤキは一生忘れられないほどの美味しい味だった。

食べ終わってから、父がやおら口を開いた。「うまかっただろう。この肉は、じつはなあ」。

僕はその続きを、まともに書く勇気はない。検疫などどうしたのだろうか、とも思うが、当時はそんなことを言っている社会状況ではなかったのだろう。

かくして、禁断のスキヤキを食べてしまった僕の体内には、トラの血とDNAが流れ続けることになり、タイガースファンとして一生を生き続ける定めとなった。

この話は、本当の実話である。ガオーッ。

(表の新着情報:「21世紀の歩き方大研究」の21世紀エッセイ「時間の岸辺から」に、「甲子園には魔物がいる、高校野球にも阪神戦にも」をアップロード)

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