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2005/09/29

北極海の氷が過去最小に、溶けた水はどこへ

コイズミ劇場だの刺客だの万博閉幕だのと、目まぐるしく過ぎ去っていくさまざまなニュースの陰で、気になる話がひっそりと新聞に載っている。

年年縮小を続けている北極海の氷が、今年の9月は観測史上最小となり、このままでは今世紀中に北極海の氷は姿を消し、ホッキョクグマなどが絶滅する、というのだ。

これはNASAと米氷雪データセーターが共同で発表したもので、信頼性の高いデータといえる。

ホッキョクグマなどの絶滅も大問題だが、素朴な疑問として氷が溶けた水はどこへ入ったのだ、ということだ。

これが南極の氷が増えているというなら、話は分かるが、南極の氷も縮小が続いていて、さらにアルプスなどの氷河も溶けて後退を続けている。

そうすると、これらも含めて温暖化で溶け出した氷は水となって、そのまま海水の増加となっているとしか考えられない。

事実、世界各地のゼロメートル地帯では、海水面の上昇による浸水の頻度が増していて、もはや陸地の水没は現実の問題となっているのだ。

その象徴がイタリアのベネチアだ。ベネチア自体がこの100年間に12センチ沈下したのに加え、アドリア海の海面が11センチ上昇していて、1920年代には年平均5回程度だったサン・マルコ広場の冠水は、ここ数年では年60回にもなっている。

地球全体での海水面の上昇と、海水温の上昇が、同時に、そして交互に影響しあって進行しているとしたら、それによる影響は想像を絶する破壊的なものになると思われる。

世界各地で、海に近い平野部の大都市がこれから浸水・冠水に見舞われていって、都市として機能しなくなっていった時、あわてて温暖化防止に取り込んだとしても、もう手遅れだろう。

ホッキョクグマの危機は、生命圏全体の危機であり、地球そのものの危機である。

市場原理主義を振りかざしてあくことなき経済発展を追い求める各国の指導者たちに、その自覚があるのだろうか。

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