米軍はイラクから撤退し、自国でハリケーンと戦え
「カトリーナ」に続く巨大ハリケーン「リタ」の襲来を目前に、130万人もの市民をどこにどうやって避難させるかで右往左往しているアメリカ。
こうした異常事態の中で、米国内ではさまざまな議論が噴出しているようだ。
ニューオーリンズでの黒人差別や貧困層への対策遅れなど、アメリカ社会が抱える暗部や恥部の問題は、とりあえずおくとしても、この巨大ハリケーンの相次ぐ襲来は、唯一の超大国となったアメリカの振る舞いと、何か関係があるのではないか、という疑問は誰しも抱くところだ。
ハリケーンのエネルギーとなるのは、メキシコ湾の高い海水温だ。このところの海水温の上昇は、温暖化と関係があるのではないか、という指摘がアメリカ国内でも出てきた。
ブッシュ大統領が「温暖化は官僚の作文に過ぎない」として、産業界の足をしばる温暖化対策に一貫して消極的であることは、世界が周知の事実だ。
米上院エネルギー委員会の公聴会では、民主党議員が「強大ハリケーンと温暖化には関係があるのでは」として、ブツシュ政権の姿勢を批判した。
もう一つの問題は、国内を大きく揺るがしている相次ぐハリケーンの襲来をよそに、イラクでは14万7000人もの米軍が駐留を続け、泥沼からの脱却のメドも立っていないことへの疑問の声だ。
米国内でも、イラクから米軍を撤退させて、戦費をハリケーン被害の救済や新たな被害の防止にあたるべきだという声が噴出している。
こうした声に対してブッシュ大統領は22日、米軍の早期撤退や戦費削減の考えがないことを強調している。
相次いで誕生している巨大ハリケーンは、ブッシュ政権の傲慢な一国主義が生み出した鬼っ子であり、米国は自国の産業と経済をすべてに優先させるアメリカ流市場主義の高価な代償として、地球そのものから手痛いしっぺ返しをくらっているのではないか、という気がしてくる。
「リタ」は間もなくテキサスやルイジアナ州に上陸する。「敵」の上陸がこれほどはっきりと予測できていて、相手の手ごわさも分かっているのに、どうすることも出来ない米国というのは、裸の王様を見る思いだ。
いまなすべきことはただ一つ、すべての米軍がイラクから撤退し、そのまま「カトリーナ」の被災地復興と、「リタ」で予想される被害の食い止めや避難民の支援にあたることだろう。
米国の敵は、イラク国内の「テロリスト」ではなく、自国のおごりと過信が生み出した一つ目玉のモンスターたちである。
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