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2005/09/02

DNA情報の98%は無意味、とした人間の傲慢

僕は分子生物学など全くの素人だが、それでも「DNAの情報の98%が無意味」としてきたこれまでの学説には、どうしてもひっかかるところがあった。

ディオキシ・リボ核酸(DNA)は、一人の人間の体にどれくらい含まれているか。

まず僕たちの体は、おおざっぱにいって60兆の細胞で出来ている。

その一個一個の細胞の中に、4種類の塩基がつらなって30億の情報を作り出している螺旋の鎖が一対ずつ入っている。

これがDNAで、二重螺旋の形に畳まれているため、極微小の姿で存在しているが、一つのDNAの長さはほぐしてまっすぐ伸ばすと2メートルにもなる。

2メートルもの長さになるDNAが、一人の人間の体内にある60兆の細胞すべての中に入っている。これは想像を絶する驚異としかいいようがない。

一つの細胞の中のDNAが持つ情報量は、1000ページの百科事典1000冊分にもなる。これまた驚愕する精巧なシステムである。

ここ数年の間に、さまざまな生物(人間や他の動物、イネなどの植物、ウィルスなど)についてのDNAの解読は大きく進んだ。

しかし、DNAの持つ膨大な情報のうち、役割を持っているのはほんの一部だけで、大半は意味のない「ジャンク」である、というのが研究者たちのこれまでの見方だった。

僕は、科学的な根拠はないけれど、直感的にそれは違う、という気がしてならなかった。

DNAは人間がデザインしたわけではない。それは46億年の地球の歴史の中で、おそらく39億年かかって作り上げられてきた生命の基本をなすシステムだ。

そのことを思う時、DNAの情報のほとんどがジャンクであるという不遜な結論を研究者たちが出すことは、おこがまし過ぎるという気がする。

無意味としか思われない大半の情報は、現在の分子生物学のレベルで解明できていないだけで、それぞれが必要不可欠の役割と意味を持っているのではないか。

今回、11カ国の研究チームによって、DNAの7割が生命維持に不可欠の役割を持っていることが明らかにされ、これまでの定説は大きく覆された。

これも僕の直感だが、まだ役割が分かっていない残りの3割も、これから研究と解明が進むにつれ、それぞれが何らかの役割を持っていることが明らかにされるに違いない。

僕は、DNAの塩基配列がどのような生命の設計情報を意味するかという、解読そのものについては、かなり進んできてはいると思うが、「ある塩基配列がある設計情報を意味するのはなぜか」という「暗号の内部的な仕組み」はまったく分かっていないように思う。

おそらく、DNAというのはその内部に、まだ人間が分からないもっと奥深いレベルで、さらに驚愕するような設計の見取り図のようなものを隠し持っていて、それによって正確に生命体を構築していくことが出来るのだろう、という気がする。

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