接近中の赤い火星が、地球の未来を暗示する
雨続きの日が多い10月だが、たまによく晴れた空を見上げると、西の空にひときわ明るく金星が宵の明星として輝いている。
金星が西の空に沈む午後8時から9時ころに、こんどは東の空を見てみよう。
赤っぽく明るい星が昇ってくるのが、どこからでもよく見える。
これが、30日に2年ぶりに地球に接近する火星だ。
火星を見ると、僕たちはなぜか心が騒ぐ。それは、ときめきとも違うし、畏れとも違う。
言い表せないデジャ・ビュ感、あるいは懐かしい近未来というような、どきどきする感覚に、僕たちのDNAが反応する。
火星は地球と極めてよく似ている兄弟惑星なのに、大気はまったくといっていいくらいなく、水は氷の状態で大半は地中に閉じ込められているとみられる。
古来、多くの人たちが火星を見上げて思ったように、僕も火星にはかつて生命が存在したに違いないという気がする。
空想をめぐらせるならば、火星にもかっては酸素が豊富な大気があり、海も川も広がっていて、さまざまな生命が誕生して進化を遂げた時期があったのだろう。
おそらく、文明を構築できる知的生命も繁栄していた時期があったような気がする。
だが、何らかの理由によって、火星の環境はすべての生命を一掃するほどの激変に見舞われて、大気を失い、水の大半は地中にしみ込んで凍結した、と想像する。
どれくらい前の出来事か。これも全くの空想だが、今から2億年くらい前の出来事ではなかったか。
地球では、恐竜が全盛期を謳歌していたころだ。
火星の文明がどこまで進歩していたのかは分からないが、当時の地球における生命進化を様子をキャッチ出来るほどには至っておらず、ロケットや宇宙船の打ち上げもない文明だったのだろう。
地球でも、有人宇宙飛行をしたり他の惑星の様子を探査したりするようになるずっと前に、核エネルギーを獲得して生命体同士の殺戮に使用していることを考えると、火星の文明がようやく核エネルギーに手をつけた可能性は十分にある。
核エネルギーの制御に失敗したのか、火星環境の悪化に歯止めをかけることが出来なかったのか、ともかくも火星の文明は終わり、火星環境の壊滅的な破壊が進むにつれて、生命圏も滅びていった。
火星は地球の鏡であるとよく言われる。いずれ地球も大気を失って凍結すれば、赤くさび付いた第二の火星になるのだ。
東の空から昇ってくる火星は、地球の行く末の姿のように思えてならない。
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