天文年鑑に毎年、神武紀元が明記される理由
2006年の天文年鑑を買ってきた。僕が中学1年のころから、毎年欠かさず買っていて、これで何年くらい続けているだろうか。
冒頭には毎年、その年の概要が書かれているのが興味深い。
「西暦2006年は平成18年で、明治139年、大正95年、昭和81年にあたる。神武天皇即位紀元では2666年になる」と書いてある。
僕はいつも、なぜ天文年鑑に神武紀元が書いてあるのか、不思議な気がしていたが、この2006年版には理由がわざわざ書いてある。
それによると、どの年が閏年になるかを定める勅令(明治31年勅令第90号)が「神武天皇即位紀元数」を基準にしているため、この年数が分からないと法的には今年が平年か閏年かを判断できないのである、というのだ。
閏年かどうかが、法的には今でも明治の頃に出された勅令をもとにして決められているとは、驚きだ。
現在のグレゴリオ暦では、原則として西暦年数が4で割り切れる年が閏年だが、例外として100で割り切れる年は平年とする。さらにその例外の例外として、400で割り切れる年は閏年である、としている。
これによって、例の2000年問題で大騒ぎだった5年前の2000年が、400年に一度の例外として閏年となった。
このようにして閏年か平年かは問題なく判断できるのに、本当に天文学者も物理学者も政府もカレンダー業界も、明治時代の勅令に基づいて判断しているのだろうか。
そもそも市販のカレンダーのほとんどは、神武紀元など問題にもしていない。
科学書であるはずの天文年鑑に、何か別の思惑のようなものが混じりこんでいるような感じがして、いつもこのくだりは釈然としない。
とくに2005年版まではずっと(僕の記憶にある限りは)、「日本紀元」という遠慮がちな表記だったのが、2006年版からいきなり「神武天皇即位紀元」と単刀直入の表記になっているのは、どうしたことだろう。
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