電球式からLEDへ、信号機の切り替え工事
最近、都内のあちこちで、交通信号機の切り替え工事をやっている。
電球式信号から、LED(発光ダイオード)信号機への切り替えで、これは青色発光ダイオードの発明によって可能になった。
切り替え工事を見ていると、まず電球式信号機の柱のすぐ隣に、新しい柱を埋め込む。
それが終わると、2人の作業員が古い方の柱に登って、電球式信号機をはずす。
信号が消灯され、はずした信号機はクレーンで吊り上げて下ろす。
こんどは、まっさらなLED信号機をクレーンで吊り上げ、新しい柱に作業員が登って取り付ける。
新しい信号機の作動を確認すると、こんどは古い柱を地中から引き抜いて撤去する。
この間、約1時間の作業は、片側1車線規制をして車を交互に流しながら行う。
なかなか手馴れたもので、テキパキと一寸のムダもなく手順通りに進んでいく様子に感心する。
全国の交通信号機は約17万基。昼夜を問わず24時間、赤か黄か青かどれかのランプが点灯しているため、消費電力は大変なものになる。
電球式信号の1灯あたりの消費電力は70ワットであるのに対し、LEDは15ワットとされている。
また、電球式では1年ごとに球の交換が必要だが、LEDは7年から10年持つという。
さらに、LEDは発光が強く、西日を受けても電球式のように擬似点灯しない、というメリットもある。
全国の信号機をすべてLEDに切り替えた場合の省エネ効果は、二酸化炭素(CO2)排出量で年間28万4000トンを削減できることになり、これは7500万本の樹木によるCO2吸収に匹敵する、という試算もある。
いいことづくめのようだが、LED式の設置コストは電球式の1.5倍と割高になる。
さらに、全部切り替えた場合に、廃棄物となる電球式信号機をどこでどのように処分すべきかも、大きな問題となっている。
すでに白色LEDも実用化されていて、あと10年もしないうちに家庭から商店、オフィス、工場まで、すべての照明はLEDに切り替わると見られている。
信号機だけでなく、電球や蛍光灯、ネオンなど古い照明の処分は、社会全体で取り組まなくてはならない新たな問題となっていくに違いない。
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