宵空に月と並ぶ金星、さらに光度を上げて
立冬を過ぎたとは思えないほどのポカポカ陽気。
夜の帳が下りても大気はまだねっとりと暖かく、春の宵のような感じだ。
空には、上弦まであとちょっとの月と、その西側には4日に太陽から最も東に離れた金星が、競うように輝いている。
金星の光度は、いまでマイナス4.4等くらいだが、これからさらにぐんぐんと光度を増して、12月9日にはマイナス4.7等で最大光度となる。
この前後の半月間くらいは、空気が澄んでいれば白昼の青空の中に、金星を肉眼で見ることが出来る。
白昼でも見ることが出来る唯一の星が、この時期の金星だ。
金星の温度は、二酸化炭素による温室効果のため、400度から500度にも達する灼熱の惑星だ。
また金星だけは、ほかの惑星と異なって、公転とは逆向きに自転しているため、金星で見る太陽は西から昇って東に沈む。
京都の鞍馬寺には、今から650万年前に金星からサナート・クラマという魔王が降り立ったという伝説がある「魔王殿」がある。
この魔王こそ鞍馬天狗である、とも伝えられている。
650万年前といえば、類人猿から猿人が分かれて間もないころだ。
以前、僕はこの魔王殿を訪れたことがあるが、昼なお暗い鬱蒼とした奥山の木立の中にあり、いかにもそれらしい雰囲気が漂っていた。
鞍馬天狗が金星人だったというのは、なかなか興味深い言い伝えだ。
これから師走に向けて、ますます光度を上げていく金星を見ながら、さまざまなことに思いをはせるのも悪くない。
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