人口減少、政府想定より1年早くか2年早くか?
今日のブログは、表の21世紀エッセイ「時間の岸辺から」と連動して同じテーマについて書く。
日本の人口が初めて自然減となり、政府の想定よりも早く人口減少社会が到来したことを、昨日の夕刊や今朝の朝刊は大きく報じている。
少子化や人口減についての政府の見通しは、いつも大甘で危機感に欠け、はずれっ放しなので、やはりというか、ついにというか、来るべきものが来たという気がする。
気になるのは、この政府見通しとの違いについて、読売、毎日、日経は「想定より2年早く」を見出しにしているのに対し、朝日は「1年早まる」としていることだ。
見出しを見て受ける印象は、見る新聞によって「2年も早まったのか」と「1年早まっただけか」と正反対になってくる。
記事をよく読んでいくと、読売、毎日、日経は国立社会保障・人口問題研究所の人口推計が、日本の人口は2006年にピークを迎えて2007年から減少に転じるとしていたことを比較の根拠としている。
これならば、予測より2年早まった、ということになる。
一方、朝日が比較の根拠としている推計は、記事を読んでも分かりにくいのだが、内閣府がつい先日公表した少子化社会白書で、総人口の減少が2006年から始まる、としていることのようだ。
だが、人口減が今年から始まりそうだということは、さまざまなデータからささやかれていたことで、少子化社会白書はこうした中で発表されたものだ。
それと比較して1年早まった、とするのはどうみてもおかしいのではないか。やはり比較すべきは、政府がこれまで一貫して人口推計の根拠としていた国立社会保障・人口問題研究所の推計でなければならない。
しかも朝日の見出しは、「流感で1年早まる」となっていて、たかが1年早まっただけで、その原因は流感にある、といわんばかりだ。
流感が原因というのは、政府が躍起になって弁明している説明を丸ごと鵜呑みにしていて、人口減の本質から読者の目をそらせるものだ。
どうも朝日の記事は、このところの「誤報続き」のせいか及び腰で、人口減を招いている政治の責任とりわけ小泉改革による競争社会・格差拡大社会について、なるべく触れないようにという心遣いがあるような気さえする。
(表の新着情報:「21世紀の歩き方大研究」の21世紀エッセイ「時間の岸辺から」に、「人口減少社会スタート、今世紀末に日本は2分の1に」をアップロード)
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コメント
トリバンさん、TBありがとうございました。少子化は、今から最大限の手を打っても数十年は止まらないといわれており、手を打たなければもっと長期にわたって人口の激減が続くことになって、考えるだけで気が遠くなりそうです。何が出来るのか、これからも考えていきましょう。よろしくお願いします。
投稿: BANYUU | 2005/12/23 21:49
トラックバックさせて頂きました。
何かしなければと最近切に感じております。
その第1段として、トラックバックを張らせて頂きました。
今後とも、よろしくお願いします。
投稿: トリバン | 2005/12/23 19:45