政府見通しより2年早く、今年から人口減少の衝撃
あまりにも大きな問題なのに、もはやどうにもならないことについては、新聞もテレビもほとんど騒がないことにしているのだろうか。
その代表的な例は、地球規模では温暖化の進行による氷床の溶解と海面上昇であり、これはいまさらクールビズだのウォームビズだのといったところで、焼け石に水である。
日本に限っていえば、もはや手遅れとなりつつある巨大な危機の一つは、返済不可能を超えてなお膨らみ続ける国と地方の借金であり、日本国の財政破綻状態である。
そして危機のもう一つが、政府の甘い推定をはるかに越えて急激に進む少子化と人口縮小の危機だ。
政府は、日本の人口は2007年から減少に転じると言い続けてきた。
ところが、その政府推計より2年も早く、今年2005年から日本の人口が初めて減少に転じたことが確実となった(今朝の日経朝刊)。
つまり日本の人口のピークは、政府が言っていたように来年2006年ではなく、去年2004年だったということで、今年は人口減少という恐ろしく長い急傾斜の斜面を、初めて転げ落ち出した歴史的な年なのだ。
これにより、年金、医療、介護などの社会保障制度すべてが政府の大甘の見通しからはずれて、早急に見直しを迫られることになり、日本の社会がこうむる打撃はとてつもなく大きい。
川崎厚生労働相が昨日の記者会見で、「今年は我が国の人口が減る年になりそうだ」と述べているにもかかわらず、新聞やテレビはほとんど反応を示さず、大新聞の中には記事すら載っていないところもある。
このペースで少子化と人口の縮小が進むというイメージが想像できないのかも知れない。
たとえて言えば、いま3人いる若者が、25年後の2030年には2人しかいなくなるということなのだ。
これほどの急激な少子化は先進国の中でも例がなく、内閣府が16日発表した少子化社会白書では、日本を「超少子化国」と位置付けている。(この白書ですら、マスコミは報道することに熱心でない)
手に負えないほどの巨大な危機に対しては、マスコミが騒いだところでどうにもならないことを、マスコミ自身が一番良く知っているのかも知れない。
3人の若者が2人になって、ほとんどすべての産業が打撃を受ける中でも、とりわけマスコミは大打撃を受ける筆頭格であろう。
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