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2005/12/02

デルタt論法で、科学文明の寿命を推論すると

デルタt論法という推論の方法がある。

リチャード・ゴットという人が発見した方法で、1969年に休暇でベルリンの壁を訪れた時に考えついた。

この壁は、あとどれくらいの間、こうして立っているだろうか、と。

ゴットは、自分がいまいる時点は、壁が存続している期間を4つに当分した場合の、まんなかの2つのどちらかにいる確率は50%だと考えた。

自分がいま、まんなかの2つの期間の一番最後にいるとすると、壁はすでに全存続期間の4分の3を経過していて、これから存続する期間はその3分の1ということになる。

まんなかの2つの期間の一番最初にいるとすると、壁はこれまでに全存続期間の4分の1しか経過しておらず、壁がこれから存続する期間はその3倍あることになる。

ゴットが壁を見たのは構築されてから8年の時点で、この推論によって壁のそれからの存続期間は、8×(3分の1)=2年8カ月から8×3=24年までの間のいずれかである確率は50%であると予測した。

ベルリンの壁が実際に崩壊したのは、それから20年後でゴットの予測の範囲内だった。

このデルタt論法を、確率50%ではなく、確率95%までに高めると、一般に次のように言い表される。

ある事柄について、特別のことがない限り、それまで続いている期間の39分の1から39倍の間続く可能性が95%ある、というのだ。

こうして人類(ホモ・サピエンス)がこれからどれくらい続くかを予測してみると、ホモ・サピエンスが誕生してからこれまで17万5000年経っているとして、あと4500年から680万年の間である可能性が95%だ、ということになる。

(ここまでは「広い宇宙に地球人しか見当らない50の理由」=スティーヴン・ウェッブ著・青土社からの要約。この本については、いずれ改めて考察してみたい)

さてここからは僕の考えなのだが、ホモ・サピエンスの寿命としているから、680万年というありそうもない上限が生じてくるので、文明の寿命に絞って考えてみたらどういうことになるか。

一般に文明の始まりは、農耕牧畜が始まった1万年前とされてするので、これをもとにデルタt論法を推し進めてみると、文明はあと256年から39万年の間のいずれかまで存続する確率が95%ということになる。

もっと限定して、科学文明の存続寿命ということを考えた場合にどうなるか。どこからを科学文明とするかはさまざまだが、いちおうワットが蒸気機関を発明した1765年としてみよう。

これまでに240年が経過していることから、科学文明の余命は、あと6年から9360年の間のいずれかである確率が95%ということになる。

あと6年という最短の数字には戦慄するが、核テロや生化学兵器のばらまきなどがあれば、ありえないことではない。

上限をとっても科学文明はあと1万年続かないことになり、妥当な数字のような気がする。

(表の新着情報:「21世紀の歩き方大研究」の21世紀エッセイ「時間の岸辺から」に、「ネットは時間の余裕を生み出すと見せて、時間を奪う」をアップロード)

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