サッカーW杯の開会式中止、FIFAの英断を支持する
今年の6月9日からドイツで開催されるサッカーW杯では、2日前の6月7日にベルリンのスタジアムで大掛かりな開会式が開催される計画だったが、国際サッカー連盟(FIFA)は13日、開会式の中止を決定した、とニュースが報じている。
中止の理由は、芸術総監督らに、芝生を傷つけないような演出を要請したが、折り合いが付かなかった、という(朝日)。
また、別の報道によれば、6月13日からこのスタジアムで始まる1次リーグの試合までに、試合ができる状態に戻すことが困難と判断したため、という(日刊スポーツ)。
開会式は著名アーティストや歴代のW杯出場選手らが参加し、歌や踊りを取り入れて過去に例がない規模のものが計画されていた。総費用は日本円で35億2500万円となる予定だった。
FIFAのブラッター会長は「スポーツの側面を優先しなければならない」との声明を出した、という。
開会式の総監督を任せられた側としては、めいっぱい盛りだくさんのイベントとアトラクションで、世界中をあっと言わせるような開会式をねらっていたのだろうが、このような土壇場での開会式中止決定は例がないのではないか。
すでに開会式の入場券は完売というが、すべて払い戻されることが決まった。
僕は、具体的にどのような開会式の構想があって、それが芝生をどのように痛め、競技に影響を与えると判断されたのかは知らないが、「スポーツ優先」ということで開会式中止を決めたFIFAの英断を高く評価し、支持したいと思う。
W杯に限らず、夏季冬季の五輪でもそうだが、最近の大きな国際スポーツ大会での開会式の豪華さと派手派手さは、明らかにやりすぎで目に余るものがある、と僕は内心、苦々しく思っていたところだ。
選手たちの入場行進と選手宣誓、開会宣言くらいがいいところで、五輪の場合はこれに聖火の入場と点灯、五輪旗の掲揚などが加わればいい。
競技とは無関係のアーチストの歌や踊り、マスゲーム、大掛かりな仕掛けを駆使した野外ショーまがいのアトラクションは、はっきり言って不要だと思う。
間もなく始まるトリノ五輪でも、相当派手な開会式が行われるようだ。
サッカーW杯ドイツ大会で、開会式のないまま1次リーグが始まっていけば、開会式はなくても国際スポーツ大会は開催できるのだということを、世界の人たちに知ってもらうための絶好の機会になると思う。
これをきっかけに、五輪の開会式も思い切った簡素化に向けて方向転換すべきだろう。
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コメント
今回の開会式も35億円かかる予定だったというから、イベント屋とか広告代理店とかプロモーターとか、いろいろなところにお金が落ちるはずだったのでしょうね。あと、開会式のテレビ放映権料も莫大なものだったのだろうと思います。開会式の中止は、こうしたビジネスに浮かれている関係者たちの頭を冷やすいいチャンスです。
投稿: BANYUU | 2006/01/14 23:00
開会式は儲かるんだろうね、誰かが。
グラウンドを競技できないようにする開会式をやって設けたい場合は、開会式会場を用意すればいいですね。
……と言っても国境不要だと感じているので、ナショナリストっぷりを発揮できるオリンピックなどは嫌いですけど。
投稿: H | 2006/01/14 22:31