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2006/01/24

回転ドアとライブドア、勝ち組の魔塔ヒルズの本性

06-01-24_15-37僕の家のベランダから、はるか彼方に六本木ヒルズが見える。

あまりにも遠くに、おぼろにかすむその威容は、僕とは別世界にそびえ立つ幻の魔塔のように見える。

僕はこれまで、六本木ヒルズに行ったことは一度もない。近づいて見たこともない。

話題の美術展などがある時に、行ってみようかと思ったこともあったが、やっぱりためらわれた。

仕事の上での用件があるならともかく、僕などが気軽に訪れる場所ではない、という気がするのだ。

六本木ヒルズが、事件の舞台としてマスコミにハデハデしく登場したのは、ホリエモン逮捕に至る今回のライブドア事件が二度目である。

一度目は、もう健忘症のメディアからすっかり消えてしまったが、一昨年3月の回転ドア事故であった。

回転ドアとライブドア。まったく無関係に見える二つの「ドア事件」は、超ゴージャスできらびやかな六本木ヒルズの本性を、はからずも国民の前にさらけ出してしまった点において、同根である。

6歳の男児の頭を挟み込んで命を奪ったあの回転ドアは、ここをスマートに通過するすべを心得ているヒルズ族と、それに準ずるエグゼクティブやセレブのための、プライドと優越感の通り道であった。

言い方を変えれば、ここの回転ドアは、ビルへの入場資格を無言のうちにチェックし選別している現代の関所だったのだ。

事故の後、回転ドアは撤去されたが、ライブドアのほうは小泉改革と符牒を合わせるかのように富と名声を肥大させ続け、ヒルズ族の頂点に君臨するに至った。

ホリエモンがヒルズの38階から一気に拘置所へと転落した様子は、その落差のあまりの大きさに目がくらむほどだ。

六本木ヒルズは、格差の拡大が広がる中、上流階級ないしは裕福層だけが、お金の心配をせずに大手を振って歩くことが出来る社会の、誇り高きシンボルだった。

ライブドアの崩壊をみていると、勝ち組の象徴とされた六本木ヒルズの実体の多くの部分が、虚業のあやうさによって支えられていたのではなかったか、という気さえしてくる。

夕方になって窓の灯りが燦然と輝くヒルズは、ここから見ると虚飾の塔のように見える。

ヒルズで起きた二つの「ドア事件」は、日本の社会の実相を異なる角度から映し出した鏡像なのだと思う。

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