とっておき号外に見るあの時(5)-ロッキード事件
前回の4回目で取り上げた毛沢東の死去があった1976年は、日本ではロッキード事件の年として記憶されている。
この年の2月4日、日本にとって全くの寝耳に水のニュースが海外から飛び込んできた。
米上院外交委員会で、ロッキード社が航空機売り込みのため、日本の政府高官に多額の工作資金を渡したことが明るみに出た。
政府高官への橋渡しをしたとして名前が出たのが、児玉誉士夫や小佐野賢治らの政財界の大物黒幕であった。
政府高官とはいったい誰なのか。売り込みルートは、どのようなものであったのか。
東京地検、警視庁、東京国税局が強制捜査に乗り出し、日本国内は騒然とした雰囲気になっていった。
僕の手元には、いくつかの号外が残っている。
7月8日、若狭全日空社長の逮捕を報じる読売号外。
7月13日、檜山丸紅前会長の逮捕を報じる毎日号外。
7月27日には、田中角栄前首相逮捕という衝撃的な事態を迎える。残念ながらこの角栄逮捕の号外は僕の手元にない。
その後も捜査の手はゆるめられることなく、8月21日、こんどは橋本登美三郎元運輸相が取調べを受けた。
右上の号外はその日の昼前に出された朝日の号外で、「午後には逮捕する見込み」となっていて、この号外の直後に逮捕となった。
この日、朝日はロッキード事件とは全く関係のない大ニュースによって、もう1つの号外を出すことになる。
甲子園で行われた全国高校野球選手権大会の決勝で、西東京代表の初出場、桜美林が強豪PL学園を延長戦の末、4-3で逆転して全国制覇を果たしたのだ。
東京勢の優勝は、大正5年以来なんと60年ぶりのことで、東京だけの配布ではあったが、同じ日に2つの号外が発行される珍しい事態となった。
同じ日に複数の号外が出たケースとしては、このシリーズの1回目と2回目で触れた1989年1月7日の「天皇危篤」「崩御」「新元号は平成」の3種類がある。
これは昭和から平成への一連の流れに添った号外だったが、全く異なる出来事で2つの号外が同じ日に発行されたのは、ほかにあまり記憶がない。
とっておき号外に見るあの時(1)-昭和の終焉
とっておき号外に見るあの時(2)-元号は平成
とっておき号外に見るあの時(3)-湾岸戦争
とっておき号外に見るあの時(4)-毛沢東の死
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