防災無線の安易な使用は、狼少年になってしまう
区の防災無線スピーカーからチャイムの音が聞こえてくると、僕はすぐにベランダの戸をあけて、音が聞こえやすいようにする。
何か緊急に地域全体の人々に伝えたいことを、これから流すのだろう、と緊張して聞き入る。
「光化学スモッグ注意報が発令されました。外出は控えてください‥」
「大型の強い台風が接近中です。十分警戒してください‥」
とくに光化学スモッグなどは、目でみても分からないし、ネットでもほとんど伝えないので、防災無線はなかなかありがたいものだと思っている。
これは中野区の防災無線なのだが、近くに住む僕の家まで風に乗って聞こえてくるのだ。
今日も午後2時ころだろうか、防災無線スピーカーのチャイムが聞こえてきた。
何事が起きたのだろうか、とベランダの戸をあけて、聞き入る。
こちらは なかのくやくしょ です
くでは ちいきぐるみで こどもたちを みまもるうんどうを すすめています
こどもたちの あんぜんのため みなさまの きょうりょくを おねがいします
これを2回繰り返して、チャイムが鳴って防災無線は終わった。
正直言って、なあんだ、という感じである。
子どもを見守る運動は重要だと思うが、それは防災無線スピーカーで広域的に流さなければならないことなのだろうか。
この運動に取り組んでいる担当部署の人たちが、なんとか防災無線を使ってでも区民の意識を高めたい、と懸命なのも分かる。
しかしこれは、防災無線の本来の役割からはずれていないか。
防災無線スピーカーからチャイムが鳴れば、だれでも何だろうか、と耳を傾ける。
授業中のクラスでは、先生の話を中断して聞き入るだろう。会議の最中でも、この瞬間は話が途切れるだろう。
コンサートや演奏会の最中であっても、会場によっては防災無線の音は遠慮なく入り込んでくる。
披露宴のあいさつの途中でも、告別式の弔事の最中でも、防災無線は流れてくる。
それを皆が容認しているのは、ひとえに防災無線の内容が人の命や健康にかかわる緊急の用件である、という了解事項があるからなのだ。
重要なことだから、大切なことだから、と緊急性のない内容をあれもこれもと防災無線で流したら、どういうことになるか。
それは「狼が来た」と騒ぎ立てる狼少年と同じである。
本当に緊急の時に、防災無線のチャイムが鳴っても、「どうせまた‥」と耳を傾ける者はいなくなるだろう。
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コメント
なるほど、そんなこともあったのですね。中野区が今日のような広報に使うのは、防災無線の作動チェックや届く範囲のテストをやっているのだと思えば、狼少年とばかりもいえないか‥
投稿: BANYUU | 2006/02/15 19:07
http://www.tbs.co.jp/uwasa/20051009/genba.html
これみてみてください。
日頃からまめだから対応できたのかもしれません。
緊急時に機能しないほうがこまりますよー
投稿: 秋葉OL | 2006/02/15 18:08