遠くまで歩いて、桃の花を買う
花瓶の花が枯れかけてきたので、いつも花を買っている近くの市場に何度か行ってみたが、あるはずの花がない。
売り切れたのか、もう花を置かなくなったのかと、市場の人に聞いてみると、花はしばらくお休みだという。
桃の節句を前にして、しばらくお休みとは、つまりは花屋さんがつぶれてしまったか、撤退してしまったかであろう。
そこで、花をどこで買ったらいいのか思案に暮れる。
新宿まで行けばデパートの花屋があるが、花を買うためだけに電車に乗るのもなんとなくいやだ。
かなり歩いて、山手線沿いにある花屋まで行く。電車で新宿に行ったほうが早かったかも知れないが、この花屋は小さいけれども品揃えがよくて安い。
桃の節句が近いことを思い出して、桃の花の入っているものを買う。
桃の花はぽろりと落ちてしまいやすいので、花瓶に生けるときにも注意を払う。
それでも2、3の花が落ちてしまったが、生けてしまえばぶつかったりしない限りは落ちることはない。
僕の最後の職場は、女性の多い職場だった。
毎年3月3日になると、僕はなぜというわけでもないが、雛あられに桃の花1本を添えて、差し入れとして職場の休憩室に持っていった。
あれから10年になる。
桃の花を見ると、みんなどうしているだろうか、と思い出す。
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