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2006/02/22

モーツァルトの弦楽五重奏曲ト短調

このところ、とりたてて興味をそそられる話もなく、2月は逃げるといわれるように、いたずらに一日一日が過ぎていく。

ふと思い立って、モーツァルトのCDを買ってきた。

弦楽五重奏曲第4番ト短調。なぜこれを買ったかというと、たぶん僕の知らない曲だろうということと、ト短調という調性にひかれたのだ。

交響曲第25番も交響曲第40番も同じで、モーツァルトの「宿命の調性」なのだそうだ。

さて、このト短調の弦楽五重奏曲を聴いてみたら、驚いたことに僕が聴いたことのある曲で、もしかしてLPレコードで持っているかも知れない。

僕はたぶん学生時代にこの曲を2、3回聴いているはすだが、当時は何の興味も覚えず、とりたてて印象に残った記憶もない。

しかし今回聴いてみると、その悲痛さと深遠さに圧倒され、心を激しく揺さぶられる。若いころの僕は、いったい何を聴いていたのか、と思う。

モーツァルトだけでなくほかの作曲家のものもそうだが、僕は交響曲や管弦楽曲ばかりに偏重していて、室内楽曲や器楽曲を頭から軽視していたのだ。

どうせレコードを買うなら、豪華な響きのオーケストラものを、という浅はかな考えもあった。

だが年を経るとともに、僕の方がすこしずつ変わってきた。

オーケストラ全体の響きの中で、第1バイオリンの高い旋律が聞き取りにくくなってきて、中間部と低音部の旋律だけによる全く別な曲に聞こえてしまうようになった。

室内楽曲や器楽曲は、バイオリンの高い旋律がほかの響きの中に埋没することなく、クリアに聞こえる。

こうして僕の好みは、管弦楽の曲から室内楽曲や器楽曲へと、しだいにシフトしつつある。

ト短調の弦楽五重奏曲は、第3楽章までは短調の力強さをあますところなく生かしているが、第4楽章の序奏のあとでいきなり長調に転調する。

このくだりは、アインシュタインをして「ある種のショックを感ぜざるをえない」といわしめたところだという。

軽快な長調の旋律は、むしろ痛々しいくらいで、透明感の中にモーツァルト的な哀しさがあふれている、という感じだ。

僕はこれまで、室内楽曲は食わず嫌いで接する機会が少なかったが、これからは意識的に聴いていこうかな、と思い始めている。

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