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2006/06/08

リスクの大海を泳ぎ続ける我ら人間

このところのニュースを見聞きしていると、現代の人間は、リスクの大海を泳ぎ続ける羊たちなのではないか、と思う。

羊が泳ぐことが出来るかどうかは知らないが、僕には荒海を必死でともかくも浮き沈みしながら泳ぎ続けている子羊たちを連想するのだ。

エレベーターは高校生を挟み殺す、防火シャッターは小学生を押し潰す。

いたいけな子どもたちは、日本全国の西でも東でも次々と殺される。

このところの事件・事故の異常な多さは、単なる偶然ではなく、僕たちのいる共同体の大きな枠組みを、まがりなりにもまとめてきたタガが、完全に外れてしまったような感じがする。

広がる格差、8年連続で3万人を超える自殺者。

これでは、とても結婚どころではなく、結婚したとしても子どもを産むどころできなく、頑張って子どもを作ったとしても1人が精一杯、というのは当然だ。

僕たち現代の人間は、リスクに満ち満ちた大海に、ボートも浮き輪もなしで放り出され、いつ果てるともない泳ぎを続けているのだ。

海には人食いザメの群れもいるし、ピラニアや海蛇もウヨウヨしている。

台風や大シケの時でも、ともかく泳ぐしかない。安息できる島などはどこにもなく、救助のヘリコプターは永遠に来ない。

大波に呑まれて力尽きる者、サメに食いちぎられる者。リスクは容赦なく、誰彼の見境なく、不意に襲いかかる。

泳ぎに自信がある者も、一寸先は闇である。

つくづくと、今日の一日を無事に生きたことだけでも、ありがたく思わなければならないのだと思う。

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