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2006/06/01

出生率最低の1.25と、自殺者3万人超

今日の夕刊には、衝撃的なニュースが2つ載っている。

一つは、日本の出生率が昨年、さらに低下してこれまでの最低の1.25となったことだ。

この数字に、厚生労働省も小泉首相も、冷静な受け止め方をしているようだが、ことの深刻さは並大抵ではない。

なにしろ、人口を一定に保つためには出生率が2.07ある必要があるのに、この数字は天と地ほどの開きがあり、さらに低下が進む可能性も指摘されている。

いまの出生率では、900年後には日本の人口がゼロになって日本が消滅する。

かりに、ここ数年の間に、出生率が上向きになって、1.3から1.4くらいにまでなったとしても、人口の縮小を止めるにはほど遠い。

もしも、何10年か先に、まさに奇跡的に出生率が2.07にまで回復したとしても、人口減少がストップして平衡状態になるのは、さらにその数10年先だ。

人口学者の間では、かりにこれから出生率が上向いていったとしても、今世紀中は人口減少が止まらない、とされている。

これを「人口減少のモメンタム(慣性または惰性)」という。

逆に言うと、少子化は30年前から生じていたのに、このモメンタムによって、一昨年までは人口が増加し続けてきた。

いまようやく遅れて、少子化が人口減という目に見える形で具現化した、ということなのだ。

今日の夕刊に載っているもう一つの見逃せないニュースは、日本の自殺者が8年連続して年間3万人を超えた、という内容だ。

出生率1.25と、年間3万人を超える自殺者。この2つのニュースは、無関係のことがらだろうか。

僕は、同じことがらが、出生率と自殺者という、異なるアラームとなって、鳴り響いているように感じられる。

それは、日本の社会で生きていく道がしだいに狭められていって、日本が極めて生きにくい社会になっている、という状況へのアラームだ。

競争を好む者のみが生きていくことが許され、競争に勝ったものたちが繁栄を謳歌する社会。

この日本の姿が、出生率をますます低下させ、競争社会からはじき出された者や競争を好まない者が、命を断ってゆく。

日本に明日はあるだろうか。明日というのは、20年後、30年後のことである。

僕は極めて悲観的だ。

50年後、100年後となると、明日は99%ない、と言い切っていいと思う。

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