グラスの中から外に逃げた氷片の怪
お昼に入ったレストランで、最初に運ばれてきたグラスの水。
何の変哲もない氷の入った「お冷や」である。
ふと、カリッという小さな音を立てて、グラスの中で異変が起きた。
氷片の一つが勢いよく水面から浮き上がり、そのままグラスのふちを乗り越えて外に飛び出そうとしたのである。
それだけでも、信じがたい光景であるが、氷片は半分ほどが外に出た状態で、グラスの渕にひっかかっているのだ(写真)。
巧妙に細工を施した氷片ならともかく、ツルツルしている普通の氷片がグラスの渕にひっかかって中ぶらりんの状態でいられるものなのだろうか。
ひっかかった氷片は、みるみるうちに融けてやせ細っていき、くちばしを上に向けている水鳥の頭のような形になっている。
やがて、氷片はグラスの渕のところから半分に割れて、水鳥の頭はテーブルの上に、コロンと落ちた。
誰も何の力も加えておらず、振動も風もないのに、水の中の氷がひとりでにグラスの渕を乗り越えて、外に逃げ出したことになる。
僕は超能力やオカルトは信じていないが、この氷片の行動は奇奇怪怪だ。
どのような物理的な力が働いたために、このようなことが現実に起こったのか、科学的に説明がつくはずだとは思うが、さまざまな偶然の要素が重なって起きた現象で、再現実験は困難であろう。
世間で語られる超常現象のたぐいも、複雑な物理的・化学的な作用がからまり合って、一見したところありえないような不思議な現象として出現するのだろうと思う。
この話には続きがある。
目の前で起きた不思議な氷片のふるまいは、吉兆か凶兆か。
茶柱が立つと良いことがある、と昔から言われているので、お茶の葉ではなくて氷ではあるが、やはり良いことの前兆ではないだろうか。
と思いつつ、この店で会計を済ませた後、クジをやっているのでどうぞ引いて下さいといわれ、引いたら「アタリ」が出た。
やったあ。500円のお買物券をゲットだ(写真)。
魔法の氷片のご利益に違いない。これを皮切りに良いことが続きますように。
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