酉の市の不思議なさかさま世界
連休真ん中の土曜日とあって、昼間から大勢の参拝客でにぎわっている。
祭りの神社というのは、ハレの異空間であり、日常とはまったく違った世界であるのは当然のことだろう。
だが‥この文字は、何かのおまじないだろうか?
赤い鳥居に高々と掲げられた、さかさまの大文字。
首をさかさまにしなくても、「一方通行入口」と読める。
これだけ堂々とさかさまに掲げられていても、だれも気にもしないで通りすぎていく。
夢の中に出てくるシュールな異次元空間のような感じで、「千と千尋の神隠し」の雰囲気だ。
さかさまの漢字といいうのも、なかなか新鮮な趣があって、悪くないな、と思う。
これからは、広告塔などでも、さかさまの文字を使ったら人目を引くかも知れない。
「美しい国日本」とか「国を愛する心」などというおせっかいなキャッチフレーズは、さかさま文字にしたほうが反語的・諧謔的でしっくりするだろう。
さて、酉の市のさかさま文字のナゾを、僕なりに推理してみると。
この写真では、向こう側が大通りで、手前が神社の本殿である。
おそらく、写真の参道は、夕方から夜にかけて、大通り側から入る一方通行の規制が敷かれるのだろう。
そのための案内看板を、とりあえず昼のうちに鳥居に取り付けておいて、いまはひっくり返した形でロープでとめている。
一方通行の規制をする時間になったら、ロープを引くかゆるめるかして、さかさまになっている案内看板がクルリとひっくり返るようになっている。
いま、さかさまになって本殿側を向いている文字は、その段階ではさかさまが解消されて大通り側に向けられる、という趣向に違いない。
江戸時代のからくり仕掛けを彷彿とさせて、なかなか粋な混雑整理対策といえよう。
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