ロシアより愛をこめて送る09
ペテルブルクに来て、僕がどうしても見ておきたかったものがある。
ロシア革命の生き証人、巡洋艦オーロラである。
今を遡ること90年になる1917年、ロシア暦で10月25日すなわち現行暦11月7日のことであった。
ネヴァ川に停泊していた一隻の巡洋艦が現在のエルミタージュ美術館である冬宮に向けて一発の大砲を放った。
これを合図にして、レーニンが率いる革命勢力は宮殿広場から冬宮に突入し、ここに社会主義政権の樹立を宣言した。
世界史を変えたロシア10月革命の合図をぶち放った巡洋艦オーロラは、いまもネヴァ川から大ネフカ川に分かれる辺りに停泊していて、練習船として使用されている。(写真)
さすがにこのあたりは観光コースからも遠いため、団体客の姿も見えないが、三々五々、見物に訪れる人達が絶えない。
オーロラの歴史的な発砲から90年。社会主義の実験はあえなく崩壊して、いまロシアは欧米型の競争重視・利潤最優先の資本主義とは異なる市場経済を手探りで模索しているかのようだ。
物言わぬオーロラは、激動のロシア現代史をどんな思いで見つめてきたのだろうか。
オーロラが見事な勇姿を保ってネヴァ川の近くに停泊している限りは、ロシアがアメリカ型市場原理社会になることは、決してないのではないか。ふと、そんな気がする。
BANYUU
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