ロシアより愛をこめて送る10
ペテルブルクで終日賑わっているネフスキー大通りは、ほぼ東西に走っているため、通りの北側はいつも日が当たり、南側はいつも日蔭になっている。
その日当たり側の一角、通りに面した柱に、青地に白い文字の古い看板が残っている。(写真)
「みなさん! 通りのこちら側は空爆のとき危険です」という注意書きで、第二次世界大戦当時のままである。
こういうものを取り壊さないで残しておくところが、いかにもロシアらしいが、これには単なるメモリアルでは済まない重いものがあるように思う。
ペテルブルクはナチス・ドイツ軍に包囲されたまま、900日もの長期に渡って耐え抜き、飢餓と寒さで膨大な数の市民が犠牲になったという話を聞くと、この看板を残してある理由が分かるような気がする。
いまも看板の下には、市民がそっと置いていくのだろうか、花輪などが飾られていて、過去のこととして忘れてはいないことが伝わってくる。
平和の有り難さは、戦争の犠牲の上に成り立っているのだということを、この看板は国境を越えて訴えているような気がする。
BANYUU
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