西新宿超高層ビルの谷間に咲く「しだれ桜」
西新宿の超高層ビルの谷間に、ひっそりと満開を迎えた1本のしだれ桜。
後ろの右側は、43階建ての損保ジャパン本社ビル、その左の後方に見えるのは、建設がほぼ終わりに近づいたモード学園の50階建てコクーンタワーだ。
交通量の多い青梅街道沿いの園照寺境内にあり、通りからよく見えるため、サラリーマンやOLたちが思わず足をとめて、ケータイで写真に収めている。
しだれ桜の「しだれ性」は、重力に抗して姿勢を制御するジベレリンという植物ホルモンが、遺伝的に欠如しているためであることが分かっている。
本来は、幹そのものも自分で立ち上がっていくことの出来ないもので、苗の段階から人間の手によって繰り返し支えを施していかないと、育つことも出来ない。
植物にとって致命的ともいえる遺伝的欠陥を、日本人の美意識が補い、生育を根気良く見守り続けることによって、しだれ桜はいま日本全国のあちこちで優雅に咲き乱れることが出来ている。
しだれ桜は、遺伝的欠陥を人間が支援して見事な美に結晶させた日本の芸術作品なのである。
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