非常口のサインに似ているけれど‥
地下道を歩いていたら、こんなサインが目に入ってきた。
駆け出している男性は、おなじみの非常口のピクトサインとそっくりだが、手をつないで直立している女性は、なんだろう?
ははあ、これは知らない男について行ってはいけません、という注意書きに違いない。つまりは誘拐防止のキャンペーンなのだろう、などと思いながら近くに行って、下に書いてある小さな字を見ると‥‥
「大切な人のために、男性にだってできることがあります。乳がん検診へ行こう」
これは去年のピンクリボンキャンペーンで、デザイン大賞最優秀賞を受賞した作品とある。
なるほど。非常口からの脱出を連想させるのは、乳がん検診を受けて早期発見することの大切さをアピールしているものと分かる。
男性が女性の手を引いて、ひっぱっているのはどのようなメッセージが?
ピンクリボンデザイン大賞の講評を読むと、「病気の女性をひとりぼっちにさせないためにも、男性にももっとピンクリボンに興味を持ってほしいと思う」とある。
うーん、男性が乳がんに目を向けることはもちろん大切なことだが、もっと大切なのは、女性が自覚的に乳がんに気を配って、一人ででも検診を受けることではないのだろうか。
このデザインからは、検診に行くのをためらって立ちすくんでいる女性を、男性が手を引いて検診に連れて行く、という設定が浮かぶ。
男性に促され手を引かれなければ、何事も自分では決断することが出来ない女性が、現実には多い、ということなのか。
夫婦や恋人などのカップルは、これでもいいのかも知れない。が、男性に頼らずに一人で生きている女性たちも少なくないはずだ。
非常口に向かって、一人でスカートをひるがえして、駆けて行く女性のデザインにしてもよかったような気がする。
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