フィレンツェからのモブログ15
フィレンツェは朝から快晴だ。今日は、シニョリーア広場の裏手というか北東側の地域を、歩いてみる。
バルジェッロ国立博物館があるというので訪ねてみたら、あまりにも小さな入口でびっくりしたが、入ってみると、こんどは中の広さと、展示作品の多彩な充実ぶりに感嘆する。
中でも素晴らしいと思ったのは、サン・ジョヴァンニ洗礼堂の北側の扉を作るにあたって、1401年に行われたコンクールに、ルネッサンス初期のライバル同士だったギベルティとブルネッレスキが、持てる全ての力を注いで作った応募作品が、いまも完全な姿で並べられて展示されていることだ。
コンクールにはギベルティが勝ち、失意のブルネッレスキは彫刻の道を捨てて、後に前人未踏のドゥオーモの巨大クーポラを作り上げる。
二人の天才の運命を分けた15世紀開幕の年の応募作品を、600年以上も後世の僕たちが見ることが出来るのは、本当に不思議な気持ちがする。
この博物館の、もう一つの重要作品はドナテッロ作のブロンズ像「ダビデ」だが、これがなんと本来の展示室の真ん中を四角い柵で囲って、入館者たちが見れる形で、公開の修復作業中なのだ。
ドナテッロの「ダビデ」像は、作業スペース内の手術台のようなところに俯せに置かれ、回りにはレーザー光線やX線による分析装置や、さまざまな薬品類などがあって、修復の緊張感が伝わってくる。現在までに済ませた修復作業の様子も、ビデオで映し出されている。
はるばると遠方から美術館に来ても、人気作品が修復中だとがっかりするが、こうした公開修復は美術作品の維持・保存の現場を多くの人達に知ってもらう意味でも、大変有意義な試みだと感じ入った。
この国立博物館は、内部が写真撮影禁止なので、中庭に面したロッジアに展示されている彫刻群を撮ったものを掲載した。
BANYUU
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