フィレンツェからのモブログ21
フィレンツェ滞在も残り少なくなってきた。今日は朝から素晴らしい快晴だ。
ドゥオーモ付属美術館に行った後、シニョリーア広場を通りかかったら、ヴェッキオ宮の前に大きく柵で囲いが出来ていて、囲われた真ん中の石畳の上に、立派な花束が置かれている。
もしかして今日は、と思い当たってガイドブックを開いて見ると、やっぱりそうだったのだ。
今日5月23日は、ルネッサンスの昂揚と栄華の歴史の中、500年以上も昔に、この広場のこの場所で、市民たちによって処刑され、火で焼かれたサヴォナローラの命日なのだ。
サヴォナローラは、ドメニコ派の修道士で、ルネッサンス期の繁栄の中で、享楽的な生活に浸って信心が薄れていたフィレンツェの人々の風潮を、厳しく糾弾し続けた。
戦乱の中で人心が動揺する中、サヴォナローラは市民の支持を得て、宗教を柱とした国家づくりにとりかかり、市民には禁欲的で質素な生活を強いた。
しかし、サヴォナローラの行き過ぎた改革は、しだいに市民の離反を招き、こんどは一転して市民たちの手によって捕えられて、絞首刑にされて火あぶりにされた。
サヴォナローラの改革については見直す機運にあるといい、今でもフィレンツェ市民たちは命日に、この広場に花束を捧げている。
僕は、広場の花束を見ることが出来ただけでもラッキーと思っていたら、やがて楽隊の演奏とともに15世紀風の衣装をまとった男女たちの行列が、しずしずと行進しながら広場に入ってきた。
広場に一行が整列すると、サヴォナローラを偲ぶ盛大なセレモニーが始まった。市長の挨拶、女性歌手によるシューベルトのアヴェ・マリアの独唱、聖歌のコーラス。思いがけないイベントに、観光客は大喜びだ。
僕も、1年に1度のこのようなセレモニーに出会うとは思ってもいなかっただけに、実にラッキーでハッピーだった。
写真は、サヴォナローラを偲ぶセレモニーと、捧げられた花束
BANYUU
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