フィレンツェからのモブログ08
今日のフィレンツェは朝から雨だ。傘をさしてサン・マルコ美術館に向かう。美術館として公開されているが、本来は修道院で、展示室も華美な飾りは一切なく、ひっそりとして静謐な雰囲気だ。
この美術館は、ドメニコ派の修道士であり、画僧でもあったフラ・アンジェリコの作品が大半を占める美術館で、中でも代表作として知られる「受胎告知」は、さまざまな画家たちが手掛けてきたこのテーマの絵画の中でも白眉であろう。
その絵は、2階の階段を上がった廊下に、忽然と、さりげなく飾られている。絵の上は、木組みの天井が剥き出しのままになっているのが、いかにも質素で修道院らしい。
僕はキリスト教のことも宗教のこともよく分からないが、この絵のマリアほど深い感動を覚える受胎告知の絵はないと思う。
大天使ガブリエルから告知を聞くマリアの表情は、まさか身に覚えのない自分が神の子を宿すなんて、という半信半疑と驚き。そして、本当だったらどうなるのだろうか、という戸惑いと不安。事の重大さへのおののきと畏敬、等々、マリアの交錯する内面が伝わってくる思いがする。
マリアの両手は胸に当てられているのではなく、無意識のうちにお腹の上に置かれているのだろう。
美術館の中は撮影が出来ないので、修道院の中庭の様子と、館内のショップで買い求めた「受胎告知」の絵の複製を、ケータイで撮ったものを掲載する。
モブログで2枚の写真を同時に送信するのは初めてだ。うまく掲載されるといいが。
美術館を出たら雨は止んでいて、眩しい五月の陽が射してきた。
BANYUU
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