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2008/10/26

30年越しの夢、ハゼ天丼をついに食ったぞ

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僕が長年に渡って、どうしても一度食べてみたいと願いながら、これまでついぞ機会がなかった食べ物に、ハゼのてんぷらがある。

はぜのてんぷらに対する、僕のやみがたい憧れには、32年ほど前の原体験がある。

たしか敬老の日の前後だったと思う。文京区内の釣りの愛好会が、区内に住むお年寄りたち数十人を公民館だか集会所だかに招待して、自分たちが釣った江戸前のハゼをてんぷらにして、敬老プレゼントとしてふるまったのである。

僕はその様子を、カメラを手にして取材に行ったのだ。

お年寄りたちの前に、お膳で供された揚げたてのハゼは、一人5匹くらいあっただろうか。美味しそうなにおいが、会場いっばいにただよい、ご飯と味噌汁もまた熱々で湯気を立てていた。

ちょうど昼食時。僕もまだお昼を食べていなくて、お腹はペコペコだった。

この時ほど、僕もハゼを食べたいと切望したことはない。しかし、僕は仕事で取材に来ている身である。たとえお金を払っても決して食べることの出来ない立場なのだ。

あれから30年余。ときたま、テレビのニュースで、ハゼ釣り船で釣りたてのハゼをてんぷらにして釣り客たちが食べている映像などを見ると、うらやましさで気も狂わんばかりになった。

漁港近くの食堂などを訪れれば、ハゼのてんぷらを食べることは可能なのかも知れない。

しかし、東京のど真ん中では、どこへ行けば食べられるだろうか。それも出来れば、ハゼを天丼で食べてみたいのだ。

最近、街を歩いていて、てんぷら屋の店先に「はぜ」という貼り紙があるのを見た。

ネットで調べてみると、いくつかの店がこの季節のネタとしてハゼを扱っていて、お好みで1匹650円から750円くらいだ。

天丼は出来るのだろうか。某店に電話して聞いてみたら、ハゼ1匹だけを使った天丼は1450円で出来るという。ハゼの数が増えたり、野菜が入ったりすると、それなりに予算は高くなっていく。

ハゼ1匹の天丼では悲しいなあ。かといって、3匹も天丼にすれば、3000円近くになりそうな感じだ。

僕はこの3週間というもの、どうすべきか悩みに悩み、ネットでてんぷら屋のサイトを見てはため息をつく日々が続いた。

そして、ついに今日、一つの店に毅然として入る決心をしたのである。(店の名前は、写真をよく見ればヒントがあるかも)

お昼の開店と同時に店に入り、気さくそうなおやじさんに、「ハゼを天丼にして食べたいのだけど、予算はどのくらいで出来ますか」と尋ねてみた。

「1200円で出来ますよ」と、こともなげに言う。ええっ。ほんとに!? 驚きと興奮に打ち震えながら、ただちにそれを注文する。

おお、ほどなく、運ばれてきたではないか。これが夢にまで見た幻のハゼ天丼じゃあ。

なんと、ハゼは5匹も入っていて、ほかに、シシトウ2本とカボチャ、ナスが入っている。赤出汁とお新香がついて、この値段とは!!!!

うめーっ。めちゃウマ。ばかウマ。やばウマ。鬼ウマである。

ああ、健康で生きていれば、こんないいこともある。

人生のしあわせとは、こういうことなのだ。現生には、地獄もあるが、ときにはこのような極楽もある。

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2008/10/19

人間ドックで異常なし、その3カ月後に突然の

【ご注意】 この記事には、体調異変についての生々しい記述が含まれています。血の話や汚い話、怖い話が苦手な方は、ゼッタイに読まないようにして下さい。読んで気分が悪くなられても、当方は責任を負いません。

おおっぴらに不特定多数の方々の目に触れることのないよう、記事は別立てにしています。お読みになる方は、こちらからどうぞ。

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2008/10/03

『箱舟の航海日誌』を読む‥動物たちに忍び寄る危機とは

Scan028b書店で偶然見つけて手にした一冊の文庫本。そのタイトルだけに惹かれて、思わず買ってしまった。

ケネス・ウォーカーの『箱舟の航海日誌』(光文社古典新訳文庫)である。

聖書に縁遠い人たちでも、どこかで読んだり聞いたりしたことがある「ノアの箱舟」の物語。

しかし、その箱舟の中で、いったい何が起こっていたのかについては、ほとんど語られていない。

この小説は、洪水に備えてノアとその家族が作った巨大な箱舟に、大小さまざまな動物たちが乗り込んでいくところから始まる。

動物が擬人化されて、まるで人間のようにしゃべったり、喜怒哀楽の感情を表しながら、集団生活を始める様子は、平和なメルヘンであり、子どものための童話のようでもある。

しかし、この小説の凄いところは、動物たちの無邪気な箱舟生活の描写にとどまらなず、やがて箱舟の中に生じる微妙な変化と動物たちに忍び寄る危機を、ていねいに描いていることにある。

その変化と危機とは‥これ以上はネタバレになるので書かないが、生きるということの本質的な問題点を鋭く突いて、いまなお私たち人間をも含めて、精神的・思想的な解決のないテーマとなっていると言っていい。

この小説は、さまざまな読み方が出来る。箱舟の中の動物たちの集団は、さまざまなレベルでの人間集団に置き換えることも可能だろう。

家族、地域社会、都市や村、国家、国際社会。箱舟に生じた危機は、もはや危機にとどまらず、幾多の惨劇と破滅をすでに何度ももたらしてきた。

共存や共生ということは、言うは易いが、もしかしてあり得ぬ幻想に過ぎないのかも知れない。

僕は、ケネス・ウォーカーという作者も、この小説のこともまったく聞いたことがなかったが、ウォーカーは第1次世界大戦に従軍し、1923年にこの『箱舟の航海日誌』を書いたという。

作者のそうした体験や時代背景も、作品には色濃く反映しているようだ。

1日か2日で読める長さで、興味を持たれた方にはお勧めしたい。

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